スマートスピーカーが登場したことで、最近は対応するスマートデバイス(スマートホーム機器)の種類も増えてきました。AppleのHomePodも2月9日に米国で販売開始ということで、さらに音声操作によるIoTスマートホーム化の流れが加速しそうですが、音声操作したい一番身近なものといえば家電ですよね。
既にシャープのクラウド対応空気清浄機やルンバのように、Alexa対応の家電も販売されていますが、未対応の既存の家電を音声操作に対応させたい場合は、ネットワーク対応の学習リモコン、いわゆるIoTスマートリモコンを使うのが手軽で簡単です。
私もEchoと同じAlexa搭載スピーカーAllureを使っており、スマートホーム化(家電の音声操作)を進めるために、スマートリモコンの決定版とも言えるsRemo-R(エスリモ・アール)を早速導入しましたのでレビューしたいと思います。
sRemo-Rを選んだ理由
スマートホームスキルとカスタムスキルについて
まずAlexaと連携するためにはスキルをセットする必要があります。デバイスを操作するためのスキルには2種類あって、一つはスマートホームスキル、もう一つはカスタムスキルですね。
スマートホームスキルは「アレクサ、〇〇つけて」という自然で簡潔な命令だけで操作できます。定型アクション(ルーチン)への組み込みも可能で、スマートホームスキルをもつデバイスを一括で操作可能。例えば「アレクサ、おはよう」と言うだけで照明とテレビとエアコンを一気につけることもできます。ただし家電リモコンの場合はあくまでもボタンを押すという操作しか命令できないため、オンとオフの操作しかできないという制限があります。(Hueのような、それそのものがスマートデバイスである場合はもう少し細かく操作可能)
一方カスタムスキルはある程度細かい操作が可能になります。例えばテレビの音量やチャンネル操作、エアコンの温度設定などですね。代わりにカスタムスキルの場合必ず呼び出し名が必要になります。「アレクサ××を使って〇〇して」というように”××を使って”という言葉を間に入れないといけないわけです。
他のスマートリモコンとの比較
現状販売されている主要なAlexa対応スマートリモコンは、以下の6製品です。
※eRemoteと同一製品であるRMmini3(通称黒豆)もありますが、輸入品で設定にひと工夫必要なためここでは割愛しています。
まず私が最も重要視したのは上述のスキルの種類です。カスタムスキルは確かに操作できる内容が幅広いですが、呼び出し名をつけないといけません。テレビの電源をつけるのに「リモコンでテレビをつけて」というのは流石に不自然で、スマートとは呼べないかなと感じてしまいます。そのためRS-WFIREX3とNature Remo(2018/2/23追記:Nature RemoがAlexaがスマートホームスキルに対応しました。/2018/3/23追記:ラトックシステムのRS-WFIREX3もスマートホームスキルに対応しました)は候補から外しました。(RS-WFIREX3はスマートホームスキル対応予定がアナウンスされていますが、現時点では未対応)
次に重視したのはセンサーが内臓されていること。これは我が家には愛犬がいるため、室温が上がったら外出先からエアコンをオンというような使い方を想定しているためです。Magic Cubeはセンサーが内蔵されておらず、eRemoteはセンサーが別売りで価格も高かったため、ここで候補から外しました。
最後に残ったのがsRemo-RとiRemoconですが、スキルを確認するとiRemoconは現時点では照明のみの対応。価格的にも比較的安価ということで最終的にsRemo-Rを購入することとなりました。
ただ本体のデザインやアプリのUIでは圧倒的にMagicCubeが優れているように感じたため、これは最後まで迷いました。MagicCubeにセンサーが搭載されることがあれば、おそらく購入すると思います。
2018/2/23追記:NatureRemoがAlexaスマートホームスキルに対応したことで、こちらもかなりスマートな使い方ができる製品になりました。価格的にはsRemo-Rの方がリーズナブルですが、NatureRemoもデザイン的にはオシャレでおすすめです。
Nature Remoのレビューはこちら。sRemo-Rとの比較も記載しています。

2018/3/23追記:ラトックシステムの家電リモコンRS-WFIREX3もAlexaスマートホームスキルに対応しました。こちらも温度計や湿度計といった各種センサーが内蔵されており、便利なリモコン。Nature Remo同様カスタムスキルとの両使いができるため、かなり自由度の高い操作が可能になります。
ラトックシステム スマート家電コントローラ スマホで家電をコントロール 外出先からいつでも自宅の家電製品を遠隔操作できる 【AmazonAlexa対応製品】 RS-WFIREX3
センサーが不要であれば、eRemoteもおすすめです。前述の通りセンサーは別売りで少し価格も高めですが、スマートホームスキル対応のため、チャンネル登録によってある程度自由にコマンドを投げることができます。
sRemo-Rのスマートホームスキルは優秀でおすすめ
前述の通りスマートホームスキルは単純なオンオフの操作しかできません。しかしsRemo-Rは用意されている141個のリモコンスロットに自由にボタンを割り当てるようにすることで、少しだけ操作の幅を広げています。
例えばテレビリモコンの1chボタンを割り当てて名称をNHKにすれば、「アレクサ、NHKをつけて」の呼びかけでチャンネル操作が可能になります。スマートホームスキルの簡潔で自然な呼びかけや定型アクションへの組み込みというメリットを得ながら、細かい操作もできる点は素晴らしいと思います。
外観
まずはパッケージですがかなりシンプルで簡素です。中身は本体とマニュアルというこちらも必要最低限の構成ですね。
別売りの電源アダプタとマイクロUSBケーブルはこんな感じです。こちらは既に汎用品を持っている人は別途購入の必要はありません。
本体は小型で手のひらサイズ。想像以上に軽く、この中に本当に高機能な学習リモコン機能が詰まっているのかと思うほどの軽さです。
電源用のUSB端子は本体の底部分にあります。
設定
sRemo-Rの初期設定
使用するためにはまず初期設定をおこなう必要があります。スマホアプリから設定することになりますので、ストアから検索するかマニュアルのQRコードからアプリをインストールします。
※現時点でアプリはiOSのみ対応。Androidは2月リリース予定。
アプリを起動するとsRemo用のクラウドサービス「sCloud」へのログインを求められる画面が登場。こちらはGoogleとFacebookアカウントを使ってのログインも可能で、私はGoogleアカウントでログインしました。他の製品だとクラウドサービス利用が有料のものもあるので、無料で使えるのはありがたいですね。
その後本体のWiFi接続の設定に。こちらはルーターのWPS機能を使う方法とスマホから個別にIPアドレスを設定する方法があります。(2台目以降はIPアドレス設定のみ)
我が家はAppleのTimeCapsuleを使用しているのでAirMacユーティリティからWPSプリンタの設定でWPSモードに入ります。この状態でsRemo-RにUSB電源を繋ぐとLEDが早めの点滅をはじめ、初期設定のモードになり、AirMacユーティリティからすぐさま接続できました。非常に手軽にWiFi設定は完了です。(再設定時はサイドの初期設定ボタンを押しながらUSB接続で初期設定モードになります)
ちなみにスマホからIPアドレスで設定する場合は、設定モードになっているsRemoに対して、スマホからSSIDとパスワードを使って直接接続して設定する形になります。
接続が完了すれば本体のLEDが点灯状態になります。あとはsRemoに名前をつければ登録が完了。ここで1点注意すべきポイントがあり、登録の際はsRemoとスマホの接続SSIDを同じにしておく必要があります。複数のルーターを使っている人やデュアルバンド設定などで5GHzを併用していて、スマホが別のSSIDに繋がっている場合は、アプリに表示されたSSIDに接続しなおすことで登録が完了できます。
これでひとまず設定は完了し単体利用が可能になりました。アプリ上にはユーザー名やSSID情報が表示され、sRemoへ接続できる状態なっています。(ここで表示されるユーザー以外が使用する場合は別途許可設定が必要)
外出先やAlexaからのアクセスにはポート開放が必要
しかしこの状態ではあくまでも同一ネットワーク内でスマホからの利用が可能になっただけの状態です。外出先からの利用やAlexa、IFTTT(Google Home)連携を使う場合、さらにルーターのポート開放設定が必要になります。sRemoは高速なWiFi規格である802.11acに対応しておらず、普段スマホをac環境で使っている場合もこの作業が必要になります。
ポートの開放は使用しているルーターによって異なりますが、基本的には設定画面のポート設定でsRemoのIPアドレスとポート番号を設定するだけになります。AirMacの場合はネットワーク>ポート設定でパブリック/プライベートTCPポートにsRemoのポート番号を、プライベートIPアドレスにsRemoのIPアドレスを入力するだけです。(念のためIPアドレスの固定もしておきました)
この状態でスマホをWiFiからモバイル回線(4G)に切り替えてsRemoに接続できればポート開放も完了です。これで家庭内の他のWiFiや外出先、Alexaからのアクセスが可能になりました。
操作性と使用感
スマホアプリからリモコンを登録
設定が一通り終わりましたので早速リモコン設定をしていきます。アプリからメニューを選んでリモコン設定画面を開きます。
登録メニューを選択してボタンの名前やカラーを設定し、設定画面を押すと、手動で学習させることができます。また複数の信号を最大16ステップで組みわせ可能(ステップ間のウェイトにも対応)なマクロ設定も可能。入力補助機能もありデバイスに応じて必要なボタンを代わりに入力もしてくれます。(信号登録は別途必要)
また便利なのがクラウド同期機能。クラウドから設定を選択すればユーザーやメーカーサポートがクラウド上にアップしている設定を、信号ごとそのまま持ってくることができます。逆に自分で登録した設定をアップすることも可能で、家族で設定を共有したり万が一本体が故障した際にも安心です。
スマホアプリからの単体操作
一度ボタンを登録すればあとはアプリからの操作で家電をコントロールできます。本体には7つの赤外線LEDが搭載され、制御可能距離は10m以上ということで、sRemo本体をどこに置いていてもかなり反応が良いです。リビングのデスク上からでもほぼ真横にあるテレビや離れたダイニングの照明、エアコンも操作可能でした。
操作以外に温度や湿度の情報をグラフで表示したり、メニュー表示の並びや設定を変更することもできます。後述のIFTTTを使えば温度に応じて自動でエアコンの電源を入れることができますが、IFTTTを使わない場合でも外出先からグラフで部屋の温度を確認して、エアコンを付けるということも可能ですね。
またボタン設定からは長押し時の挙動がタイマーか連続動作から選択が可能。私は連続動作よりもタイマーで使う機会の方が多いと考えタイマー動作にしています。
Alexaとの連携による操作
さて、いよいよ私が一番使いたかったAlexaとの連携です。まずアプリの設定からAlexa設定を選択して新規追加をおこないます。ここでは全部で5つの入力項目があるのですが、装置名(呼称)はAlexaに指定する時のワード「アレクサ、〇〇を付けて/消して」の〇〇の部分、ONリモコンが「付けて」の時のボタン、OFFリモコンが「消して」の時のボタンになります。私の設定ではテレビの電源ボタンを63に設定しているため、下の写真のようになります。
次はAlexa側でsRemoのスキルを有効化する作業。この際sRemo設定時に作成したsCloudのアカウントでのログインとアクセス許可が必要になります。
有効化できれば次に端末の検出。しばらく待つと先ほど登録したテレビの操作がデバイスとして登録されました。少しややこしいですがデバイスとしてsRemoが登録されるのではなく、あくまでもAlexa設定をおこなっている操作だけがデバイスとして登録されるということですね。
あとはAlexa連携したい内容をどんどん登録して、Alexa側で検出をするという流れになります。登録はアプリからもできますが、どのボタンにどんな操作を割り当てたか確認しながらの作業になりますので、PCのブラウザ上からsCloudにログインして設定していく方がかなり楽になります。これもクラウドサービスが用意されているメリットと言えますね。
この状態で「アレクサ、テレビを付けて」というと無事テレビが付きましたし、「アレクサ、番組表付けて/消して」も問題なく動作しました。素晴らしいです!
もう一つAlexa連携と言えば定型アクションによる一括操作ですね。ひとまず「アレクサ、おはよう」で全ての電源をオンにするようにしてみました。しかしこの方法だとHueとテレビは反応しましたが、他のデバイスは反応せず。どうやら定型アクションに組み込めるコマンドはsRemo1つにつき1つ(sRemoが2つある場合は2つ)になるようです。(こちらの内容はメーカーのサポート情報にも記載されています。)
しかし定型アクションが無理でも、sRemo-Rには複数機器を操作する機能としてマクロ動作を備えています。これは複数のボタンをWaitを挟みながら連続で動作させることができる機能。ひとまずボタン1に全ての機器の電源をオン、ボタン2にオフを設定してAlexaに登録してみました。結果は大成功。「アレクサ、全部つけて」というと登録している全ての機器の電源をオンしてくれました。(マクロについては旧バージョンで不具合がありましたが、最新バージョンで改善しています。詳細はこちら。)
このマクロ機能を使えばsRemo-Rが1つしかなくても定型アクションに複数のコマンドを組み込むことができます。sRemo-Rで操作できるもの、Hue、その他Alexa対応デバイスを一気に操作することができますので、マクロの設定次第でかなり操作の幅が広がります。
IFTTT連携による操作
Google Homeとの連携や、GPSを使った帰宅/外出時の機器オンオフ、室温など部屋の状況に応じた通知・機器の制御をおこなうためにはIFTTTを使った連携が必要になります。我が家にはGoogle Homeはないため、通知制御とGPS制御を設定して見ました。
IFTTTを使うためにはまずIFTTTサイトへの登録が必要になります。登録やログインを済ませ、sRemoサービスを検索し、コネクト。これでsCloudとIFTTTがリンクは完了です。
次にアプレットと呼ばれる命令セットを作成していきます。通知や制御のトリガーに使うのはWebhooksというサービス。NewAppletから「+this」を押してWebhooksを選択、イベント名を付けます。
次に「that」でどのような動作をおこなうかを設定していきます。ここではGmailの他TwitterやFacebookへの通知も設定可能。好きなサービスを選んで題名や通知先を設定してIFTTTは完了。
次にsRemoの設定ですね。IFTTTトップページから再度Webhooksを検索してドキュメントを開きます。そこに自分のKeyが記載されているので、イベント名とそのKey情報を、sRemoアプリのIFTTT設定に入力。その後通知制御設定に映り、条件/通知制御の種別/リモコンボタンなどを設定すれば完了。私はひとまず室温20度以下でメール通知とエアコンの電源を入れるように設定してみました。条件を満たすと登録したメールに通知が来ると共に、エアコンの電源が入ります。
このあたりの設定が少し複雑ですが、メーカーのサポートサイトに細かい手順付きで解説されていますので、そちらを参考にすれば迷うことなく設定できると思います。
他にもLocationを使って対象範囲内/外で特定のリモコン操作を行ったり、Date&Timeでスケジュールに合わせて制御をおこなうこともできます。Locationの設定は非常に簡単で場所と範囲、行動(出るか入るか)を設定してIFTTTに用意されたsRemoアプレットから特定のリモコンを押すように設定するだけです。自宅に近づいたらエアコンの電源が入るように設定して外出したところ、帰宅時にしっかりと動作していました。
sRemo-Rの使用感と感想まとめ
sRemo-Rを導入したことで自宅のスマートホーム化が一気に加速しました。単体でもじゅうぶんすぎるくらい便利な上に、スマートホームスキルやIFTTTへの対応で拡張性や自由度も飛躍的に向上しています。かなり満足度が高いスマートリモコンですね。
もちろん今の段階ではまだまだ完璧なスマートホームが実現できているとは言えず、未完成な状態ではあります。自由度が高い分設定がかなり複雑であったり、UIももっと洗練されたものの方が使いやすいです。sRemo-R単体の問題だけでなく、Alexa側が発展途上でうまくスキルを組み合わせられなかったり、声を聞き落とすこともあります。
しかし近い将来必ず、音声や行動で機器を操作することが当たり前になると思っています。sRemo-Rはまだまだ未完成ながら、そんな将来を少しだけ早く体験させてくれる夢の詰まったデバイスだと思いますので、ぜひ導入して時代を先取りしてみてください。
sRemo-Rのほか主要なスマートリモコン複数機種の比較は下記にまとめてあります。

2019年最新版のおすすめスマートリモコンについてはこちらで紹介しています。

スマートホーム関連については他にも色々とレビューやまとめをしていますので、よろしければこちらもどうぞ。

最後に
sRemo-Rは1月30日に発売されたばかりで、カラーは今のところレッドのみの発売です。シルバーは2月中旬、ブルーは2月末の発売予定となっています。また現在iOSのアプリしか提供されておらず、Androidアプリは2018年2月に提供予定です。
ただ生産が追いついていないようで、現在Amazonでは在庫切れの状態。公式サイトのお知らせによると次回工場出荷予定が2月3日(土)と2月10日(土)で、出荷から2,3日でAmazonでの販売が開始される予定とアナウンスされています。
欲しい人はしばらく在庫不足に悩まされるかもしれませんが、定期的にAmazonの商品ページをチェックした方が良さそうです。
2018/2/19追記:
毎週Amazonには入荷しているようですが、販売が開始されると即売り切れの状況が続いています。現在Amazonへは、2月23日(金)「レッド、シルバー」/3月2日(金)「シルバー、ブルー」/3月9日(金)「シルバー、ブルー」の出荷が予定されており、過去の例で言うと翌日夕方〜翌々日午前中の販売になると思われます。
またオークションサイトなどで定価の3倍以上で販売されている例もあるようなので、気をつけてください。
2018/3/3追記:出荷済み製品の一部に、マイクロUSB端子の取り付け位置不良品があったようで、現在出荷を停止しているようです。機能面では優れた良い製品なだけに非常に残念ですが、検査体制を強化してまた出荷が再開されることを期待しています。※現在は改善されています。
2018/5/3追記:
外からの操作にポート開放を必要としないスマートモードが新たに追加されました。アプリの設定メニューは使えませんが、操作は可能ということで、より手軽に使いやすくなりましたね。
2018/6/7追記:
一時期入手が困難でしたが、公式のYahooショップなどもでき購入しやすくなっています。Amazonでの在庫も復活しているようですね。
Alexaスマートホームスキルに対応したNatureRemoもオシャレでおすすめです。
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