カメラを中心に周囲の風景を360度丸ごと、写真や動画で撮影できる話題の360度カメラ。旅行での最高の風景やシーンを全天球(全方位)で残したり、レジャー利用や普段使いでも楽しい思い出を残すことができます。普通に鑑賞するのはもちろん、最近流行のVRコンテンツなどにして風景を追体験するのも楽しいですよね。
そこで今回はRICOH THETAなど人気の高い360度カメラの紹介。メジャーな7機種の特徴説明や比較をしていきたいと思います。
RICOH THETA V
360度カメラと言えばコレと言っても良いくらいの定番品、リコーのTHETAシリーズ。中でもこのTHETA Vはシリーズのハイエンドモデルという位置づけになります。
画質に関してはハイエンドモデルらしく、動画撮影は4K、静止画も1200万画素に対応。十分に満足できる高画質撮影が可能です。また、撮影した写真はBluetooth接続で簡単にスマホに転送することが可能。撮影した写真や動画を、その場で編集して友人に送れるのはいいですね。
さらに、THETA V の特徴として4チャンネルのマイクが搭載し、立体的な音声の記録を可能にしています。4Kという高画質に立体的なサウンドが加わることで、撮影した動画ではまるでその場にいるかのような体験をすることができますね。別売りの防水のハウジングを使えば、水中でも利用できるようになり、幅広い使い方で楽しむことができます。
専用の編集アプリを使えばスマホで簡単に編集を行うことも可能。カメラ自体の性能も使い勝手も最高クラスで、音声も含めてハイクオリティな360度映像を撮影したいという方には、このTHETA Vがオススメです。
2018/7/27追記:THETA Vの機能を拡張させることができるプラグインストアが、新たにオープンしました。THETA VにはAndroidベースのOSが採用されているため、スマホにアプリをインストールするように、THETA Vにもプラグインをインストールして様々な機能を追加することができるようですね。
現在はリコー純正のプラグインとしては、無線LANでGoogleフォトに直接写真をアップできる「クラウドアップロード」、同じく無線LANに接続してYouTube経由で360°映像を手軽にライブ配信できる「無線ライブストリーミング」、自動で画像を解析して顔にぼかしをかけてくれる「自動顔ぼかしβ版」の3種類を用意。どれも撮影時の手間を省いてくれる便利な機能ですね。
プラグインはリコー純正のもののほか、サードパーティー製も提供されます。プラグイン開発の登録企業もソニーやドコモといった大手から海外のスタートアップまで多数あるようで、すでにいくつかのサードパーティープラグインも公開済み。これからどんどん便利で楽しい機能が登場してくるのが楽しみですね。
RICOH THETA SC
THETA SCも先に紹介したリコーのTHETAシリーズのひとつ。スタンダードモデルとなり、THETA Vの下位機種にあたります。
動画の解像度はTHETA Vと異なり4Kには非対応。1920×1080のフルHDでの撮影になります。静止画に関してはTHETA Vと同じく1200万画素ですので、動画より静止画で使う機会が多い人はこちらの製品でも満足できますね。
THETA SCは機能面では、上位機種のTHETA Vや他機種に劣る部分は確かにありますが、特筆すべきはその価格。THETA Vが5万円程度であるのに対して、THETA SCは2万5000円程度で購入することができます。360°カメラがこの価格で購入できるというのは、かなり魅力的なポイントではないでしょうか。
価格が安い分、ライブストリーミングには非対応、HDMI端子が付属していないなど、できることが一部限られてしまいますが、低価格で360°カメラを使ってみたい、写真専用機として安いモデルが欲しいという場合にはオススメです。カラーバリエーションも4色展開しているので、自分好みに合わせて楽しむことができますね。
GoPro Fusion
アクションカメラの王者GoProからもついに360度カメラが発売になりました。GoPro Fusionは2018年4月に新発売されたばかりの製品で、アクションカメラ開発で培われた技術やデザイン性を活かした360度カメラになります。
GoPro Fusionの特筆すべき点はいくつかありますが、まず一つ目がその圧倒的な画質の高さ。動画撮影時の画質はなんと5.2Kに対応しており、他社の360°カメラを圧倒しています。強力な手ブレ軽減機能も備え、ジンバル(カメラの揺れや傾きを抑えて一定に保つ機構)不要を謳っているのもアクションカメラメーカーならではですね。
撮影後にも映像を楽しむための編集機能として「OVERCAPTURE」を搭載し、スマホアプリで簡単に編集も可能。360°の映像を観る場合、従来機では専用のビュアーが必要だったり、見たい方向へ自分で操作して画角を変える必要がありましたが、「OVERCAPTURE」を使用することで撮影者が見せたい瞬間、画角を記録し、従来通りの静止画や動画の形で再生することが可能になりました。
また、カメラ本体には4つのマイクを搭載し、360°の録音に対応。立体感のある音声の録音/再生を楽しむことが可能です。動画撮影時の画質だけでなく、音声も含めて最高のクオリティでコンテンツを保存できる、高性能360度カメラと言えますね。
GoProらしく高い防水性能を備えていることもポイントです。本体だけで水深5mまでの防水性能を搭載しているので、水中での高画質の撮影も可能ですね。様々なシーンで利用できる、万能なカメラになっています。
ハコスコ Insta360 ONE
RICOHのTHETAと並んで高い人気を誇るハコスコのInsta360シリーズ。Insta360 ONEは、その中でもハイスペックモデルとなり(さらに上位のプロモデルもありますが、こちらは完全なプロ仕様で30万越え!)、高画質高性能な製品となります。
撮影方法は様々で、カメラ単体での撮影はもちろん、Lightning接続によるiPhone/iPadへの直挿しやBluetooth接続でリモート撮影が可能。iPhone/iPadへの直挿しで使用する場合は、アプリが自動で起動し、すぐに撮影をすることができるます。他の360°カメラと違い、撮影データの転送時間はほとんど発生せず、編集、SNSでのシェア、ライブ配信も則剤にできるのが非常に便利ですね。Androidユーザーの場合は、別売りのアダプターを使うことで同じような使い方が可能になります。
気になる画質は動画撮影で4K、静止画で7K対応と360°カメラの中でもトップレベルの高画質。また、本体の重量は73gと圧倒的な軽さで、サイズも非常にコンパクトなので、ポケットに入れて持ち運ぶこともでき、ポータブル性に優れています。
Bluetooth接続をすれば遠隔での撮影も可能に。本体が圧倒的に軽いので、ドローンに取り付けて空から撮影、広大な風景を楽しむというような使い方もできますね。また、別売りの防水ハウジングを使えば、水中の撮影も可能になるので、幅広い使い方が可能です。iPhoneと接続して簡単手軽に高画質な360度映像を撮影したい人には、非常におすすめできるモデルになっています。
追記:Insta360 ONE Xが発表
※2018/9/27追記:Insta360の新モデルの発表と思われるティザーサイトが公開になりました。内容を見る限りかなり強力な手ぶれ補正を実現した製品のようですね。公開された動画ではその性能アピールのため、最近発売されたばかりの同じく高性能な手ぶれ補正を新搭載したGoPro Hero 7や空間光学手ブレ補正機能を備えたソニーのFDR-X3000との、手ぶれ補正能力が比較されています。
2018/10/11追記:ティザーで公開されていたInsta 360 ONE Xが正式に発表になりました。宣伝されていた通りジンバル級の手ブレ補正機能が搭載されているようで、ヘルメットなどに付けてもブレのない映像が撮影できる360度アクションカメラとなっています。
撮影性能としては、同クラス製品の中でもトップクラスとなる5.7K(30FPS)画質を実現。さらに50FPS(4K)や100FPS(3K)といった高フレームレート撮影も可能で、動きの激しいシーンでも滑らかな撮影がおこなえるようになっています。スローモーションをかけることもでき、かなり活用の幅が広がりますね。
編集機能も充実しており、専用アプリを使えば簡単に高度な編集も可能に。映像の好きな部分の再生速度も変えることができ、映画さながらの映像を製作することもできるようになっています。他にも「ドリフトダーツ」という空中に投げて撮影できるキットや、水深30メートルまで利用が可能な潜水ケースも用意。様々シーンで大活躍すること間違いなしのカメラに仕上がっています。
ハコスコ Insta360 Nano S
INSTA360 Nano Sは、先に紹介したInsta360 ONEと同様、ハコスコから発売されている360°カメラ。こちらはiPhone接続専用の360°カメラで、Lightningコネクタに挿しこむだけというシンプルな使い方に特化している点が特徴です。
気になる画質は、動画撮影では4K、静止画では7K対応で、Insta360 ONEと同様の高画質な撮影が可能。Insta360 ONEよりも約1万円も安く購入できる点も魅力的です。本体重量は66gとInsta360 ONE以上に軽量で、まさに余計な機能などをそぎ落としたシンプルモデルと言えそうですね。
またInsta360 Nano Sならではの特徴として、マルチビュー機能が搭載。360°の映像はこれまで専用のビューワーアプリを利用しないと楽しむことは困難でしたが、この機能では、360°の映像から複数のフレームを切り出して、一枚の2D画面の中に配置できます。出来上がった映像は2D画像なので、通常の360°動画のように周りを見回すことなく楽しむことができますね。
Wi-FiやBluetooth接続には対応しておらず、利用用途は限られてしまいますが、シンプルさと軽さを追求し、iPhoneだけの利用で問題ない人には非常にオススメできるモデルとなっています。
3K解像度の動画撮影が可能な下位モデル、Insta360 Nanoも人気が高いです。
サムスン Galaxy Gear 360
Gear 360はGalaxyなどのモバイルデバイスで有名なサムスンが販売する360°カメラ。本体は特徴的な形をしており、持ち手のようなグリップ付き。このグリップは撮影時の負担を減らすだけでなく、下部に三脚と同じ仕様のマウンターの穴が付いているので、他社の三脚にも取り付けることができます。
画質に関しては、動画は4K、静止画は1500万画素と、他のカメラにも見劣りをしないレベル。HDR機能が搭載されているので、逆光や夜間での撮影にも対応が可能です。
Gear 360の最大の利点としては、録画時間が長いことがあげられますね。他の360°カメラではおよそ60分前後の録画が可能ですが、Gear 360はなんと130分の録画が可能。360°カメラは野外で使う場面がよくあると思いますが、そんな時に長時間の録画が可能なのは嬉しいポイントではないでしょうか。
また、3万円前後とリーズナブルな価格帯で購入できる点も魅力的で、コスパの高い360度カメラとなっています。
LG 360 CAM LG-R105
LGから発売されている360度カメラLG-R105。この製品の特徴は何と言ってもその価格の安さです。本来は199ドルの製品ですが、Amazonでは並行輸入品が執筆時点で10,000円と半額近い値段で販売されており、非常にリーズナブルで買いやすい360度カメラになっています。
スペック的には1300万画素のレンズで2K(2560×1280)の動画撮影に対応。4K撮影が可能なモデルにはやや劣りますが、それでもフルハイビジョン以上の高画質360度撮影が、この価格のカメラで可能なことに驚きですね。
スマートフォンとの連携にも対応し、画面を通して録画しているものをリアルタイムで確認することも可能。YouTubeやGoogleストリートビューのアプリとも互換性があり、撮影した動画/画像の公開や共有も簡単にできます。
ハイスペック・高機能な360度カメラが欲しい人には向きませんが、ひとまず体験してみようという人にはこの価格は非常に魅力的でオススメできる製品になっています。
360fly 4K
360flyは、米国のベンチャー企業が開発発売する360°カメラ。最新のロボット工学で採用されている超広角カメラを搭載し、画質は動画が4K、静止画は1600万画素での撮影が可能となっています。
この製品は今まで紹介してきたような全天球タイプのカメラではなく半天球タイプと呼ばれるモデル。水平方向は360度撮影ができますが、垂直方向は下部分が存在しない240度での撮影になります。(360flyの場合、通常の半天球タイプより垂直方向が広く、準全天球タイプと言っても良いかもしれません)
一見すると全天球よりもスペックが劣っているように感じる半天球ですが、全天球の場合はレンズが2枚構成になるため、必ず画像につなぎ目が発生します。しかし、この360flyはレンズが1枚で構成されているため、つなぎ目がなく、よりリアルで臨場感のある映像が楽しめる機種になっています。
他にも大きな特徴があり、見た目の通り非常に頑丈であること。10Mまでの防水機能に加え、防塵・耐衝撃性能を搭載しているので、野外でのハードな利用には最適です。さらにGPS機能や、ステレオマイクも搭載しているので、使い勝手の面でも非常に優れていますね。
重量は172gと、他の360°カメラよりも少し重たいですが、これはタフさゆえのデメリット。しかし64GBという大容量の内蔵メモリを搭載し、特定の利用シーンでは他の機種よりも圧倒的に優れたスペックの360度カメラとなっています。
まとめ
GoProがFusionを発売した時に「360度カメラは、カメラが向かうべき方向」と言ったように、これからのカメラは360度全方位を撮影することが当たり前になる時代が来るかもしれませんね。周囲一面の風景、周りで起こっている出来事を、余すことなく記録ができる360度カメラ。旅行やイベントなどの特別な瞬間だけでなく、日常生活でも色々と楽しめるデバイスだと思いますので、ぜひ購入を検討してみてはいかがでしょうか。
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