AI(人工知能)の能力を飛躍的に向上させたディープラーニングの歴史と仕組みを解説

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ディープラーニング(深層学習)とは、人間が日常的に行っている目から入ってくる画像認識や耳から入ってくる音声認識などの処理をコンピュータ上で行えるようにさせる手法の一つです。よくAIと機械学習、ディープラーニングは混同して語られることもありますが、AIの実現にための技術として機械学習が存在し、その機械学習の手法のひとつがディープラーニングになります。ディープラーニングは人間の脳の神経回路をシミュレートしたモデルであるニューラルネットワークが元になっています。

人間の脳の仕組み

人間の脳はニューロンという単位で構成されています。ニューロン間は神経細胞から伸びた軸索内を通して電気信号が伝えられます。軸索の先端と次のニューロンの入力となる樹状突起との間は直接つながっているわけではなく、シナプスと呼ばれる間隙があり、信号は化学物質により結合されています。シナプス間の伝達効率は放出される化学物質の量で強化されたり、逆に低下したりします。

ディープラーニングの歴史

最初のモデル(パーセプトロン)

1950年代に理論的に開発されたパーセプトロンは、入力層と出力層の2層からなるモデルでした。学習機能は備えていましたが、この単純なネットワークでは学習できる内容に限りがあることが分かり、研究は中断しました。

2番目のモデル(ニューラルネットワーク)

第2世代のAIの中で考え出されたニューラルネットワークは人間の脳のモデルをコンピュータ上に実現したもので、入力層、中間層、出力層の3層構造で構成されます。入力層に入った信号は中間層に伝えられ、中間層の出力信号は出力層に伝えられます。それぞれの層の間の結合の重みはパラメータとして動的に変えられるようになっています。学習が進むにつれ、パラメータの値をチューニングして最適な出力が得られるようにするのです。
しかし、どれほど多くのデータを与えても学習精度がなかなか向上しなかったため、再び研究は下火になっていきました。

3番目のモデル(ディープラーニング)

2006年にカナダのトロント大学のヒントン教授らが入力層と出力層に同じデータを使い、中間の隠れ層は両層より少ない数のニューロンで構成するオートエンコーダという手法を開発しました。この手法を使い、ニューラルネットワークの重みづけの初期値を設定してから「誤差逆伝播法」と呼ばれる手法を適用することにより、多層のニューラルネットワークの学習の精度が飛躍的に向上しました。これが現在のディープラーニングの基礎となりました。

ディープラーニングでAIが進化した理由

ディープラーニングによる学習精度の向上

従来の機械学習には「特徴抽出」という段階が必要です。精度を上げるためには人手により最適な特徴を抽出する必要がありました。ディープラーニングはこの特徴抽出という段階を人手によらず、機械自身が行えることが最大の特徴です。コンピュータ自身が特徴を抽出しチューニングを行うことによって、人手のような時間的/労力的コストを削減しながらも何倍も速く大量に深く学習をおこなうことで、特徴抽出精度が飛躍的に向上しました。

ディープラーニング技術自体の発展

なぜ現在ニューラルネットに基づくディープラーニングがこれほどまでに進歩したのでしょうか。それは次の2つの理由からです。

1.ニューラルネットワークに基づく機械学習では非常に多数のラベル付き学習データを必要とします。学習データを獲得するために最も適しているのが、現在インターネット上のビッグデータであり、これを使うことにより大量のデータを学習に使うことが可能になりました。

2.また、今日のディープラーニングの実現には、GPU(Graphics Processing Unit)の高速化も一役買いました。ディープラーニングには多くの層で重みづけの計算が行われますので、計算量が非常に多く、高速な演算処理が必須な訳です。GPUは元々は画像処理用のプロセッサだったのですが、数値演算を高速に実行することからディープラーニングに積極的に利用されるようになったのです。

ディープラーニングの応用

ディープラーニングは既に実用レベルで我々の生活に役立っています。自動運転技術の改良やホームアシスタントシステム(スマートスピーカー)、iPhone XのFaceIDなどもこのディープラーニングから生み出された新たなシステムです。さらに最近ではキュレーションメディアやニュース、コンテンツですらもディープラーニングを用いたAIにより自動化されたサービスが登場してきています。一部の領域では既に人間がおこなうよりもはるかに早くて正確な識別や分類が可能なほど進化しています。今後新たなサービスやビジネスが展開される上で、ディープラーニング(もしくはそれを使ったAI)というキーワードが主役になることは間違いないように思います。

記事作成者からのお知らせ

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