前回、機械式アナログ時計好きの人が使うスマートウォッチとしてwena wristという製品をこのブログで紹介しました。
この製品簡単に説明すると時計のバンド部にスマートウォッチ機能を持たせて、ヘッド(時計本体)は普通のアナログ時計になっています。バンド単体でも販売されていることから、好きな時計のヘッドにこのバンドを取り付けると電子マネー機能や歩数計機能、通知機能を追加できるようになります。
今回ついに私も、自身の愛用しているロレックス サブマリーナデイト(116610LN)へwena wristを取り付けてスマートウォッチ化しましたので、その手順や使用感をお伝えしたいと思います。
※今回私は自分でバンド調整や交換をおこないましたが、メーカーとしては推奨していませんし自己責任になります。経験のない方や不安な方は大事な時計を壊したり傷つけないためにも、経験豊富な時計修理店やメーカーが公開している推奨バンド調整店へマニュアルと一緒に持ち込んで交換依頼をしてください。
wena wristとは
wena wristはソニーのクラウドファウンディング&ECサイトである「First Flight」で1億円以上の支援を集めて2016年6月に販売が開始されました。ヘッド部分には通常のアナログ時計を採用し、バンド部分に「FeliCa」などの電子部品を組み込むことで、「電子マネー機能」「通知機能」「活動ログ機能」を使うことができるハイブリッド型スマートウォッチです。当初はヘッド部2種類(三針/クロノグラフ)とカラー2色の展開でしたが、現在はバリエーションも増え様々なデザインから選ぶことができるようになっています。ファッションブランド「BEAMS」とのコラボモデルも登場し、ガジェット好きだけでなくファッション好きからも熱い支持を受けている、まさにテクノロジーとファッションの融合を実現した製品です。
2017年7月からはヘッド部を除いたステンレスバンド単体の販売を開始し、2017年12月下旬にはレザー製で電子マネー機能のみを搭載し、充電が不要となる「wena wrist leather」の販売を予定しています。今回はこのwena wrist 単体ステンレスバンドを使った、自分の時計のスマートウォッチ化と使用感をレビューしたいと思います。
wena wristのさらに詳細な記事は以下をどうぞ。
使用前のバンド交換
交換前に工具と必要パーツの準備
まずバンド交換や調整には上記写真のような専用の工具が必要になります。本体(ヘッド)からバンド部分を取り外すための「バネ棒外し」というものや、ヘッドとバンドの接続部である「エンドピース」や調整用のコマを付け外しするためのピン抜きやハンマー、バンド固定用のホルダー(台座)等です。それぞれ単品でも売っていますが、セットになったものがホームセンターやAmazonに売っていますので、自身で調整することが多い場合は一つ購入しておくと便利です。特に機械式時計は定期的なオーバーホールの際にバンドを純正に戻す必要がありますしね。
また手持ちの時計のラグ幅(ベルト幅)も把握しておきましょう。wena wrist自体のラグ幅は22mmですが、一般的な時計は20mmや18mmのものも多いと思います。そういう時計に合わせるために純正の幅調整用のエンドピース(18mm/20mm)が用意されていますので、合わせる時計の幅に合わせたものを購入してください。
ちなみにロレックス サブマリーナはラグ幅が20mmですので20mm幅用のエンドピースを購入しました。(ごく稀にバンド幅を合わせても他のパーツが干渉して取り付けが困難な場合もあるようですので、不安な方はメーカーや時計店で確認しておいたほうが良いと思います)
パッケージの開封
ではいよいよパッケージの開封です。質感の良いパッケージを開けると、バンドが収まっています。さらにその下にマニュアル類や充電用のケーブル、クリップと長さ調整用のコマ(小サイズ)が入っています。個人的な感想ですがパッケージの雰囲気はシックで高級感もあってかなり好感が持てます。
同梱されている調整用のコマは、標準のバンド長Mサイズ以外のSサイズ/Lサイズに調整をするのに必要になりますので、無くさないようにとっておきましょう。さらに追加でエンドピース(大サイズ)を2個購入しておくことで計6段階のバンドの長さ調整が可能になりますので、自分の手首サイズを測って必要があれば購入しておくことをオススメします。バンドの長さのサイズは以下のようになっていますので、時計の種類と手首のサイズから一番近いものを選ぶようにしてください。
S | Three Hands(三針) | 158mm |
Chronograph(クロノグラフ) | 155mm | |
SM | Three Hands(三針) | 165mm |
Chronograph(クロノグラフ) | 162mm | |
M | Three Hands(三針) | 171mm |
Chronograph(クロノグラフ) | 168mm | |
ML | Three Hands(三針) | 178mm |
Chronograph(クロノグラフ) | 175mm | |
L | Three Hands(三針) | 182mm |
Chronograph(クロノグラフ) | 179mm | |
LL | Three Hands(三針) | 189mm |
Chronograph(クロノグラフ) | 186mm |
エンドピースの交換
前述のように私の使っているサブマリーナはラグ幅が20mmですので、エンドピースを標準でついている22mm幅のものから20mm幅のものに交換する必要があります。wena wristのエンドピースとコマはCリングとピンでとまっていますので、バンド裏側の矢印マークで方向を確認してその方向にピンを打ち抜いて外すことになります。(詳細はマニュアルに記載されています。)
私は写真のようにバンドを固定してピン抜きを合わせ、上からハンマーで叩いて出てきたピンをペンチで引き抜きました。
Cリングは小さくて引き抜く際に飛んで行ったり紛失しやすいので注意しましょう。次に20mmのエンドピースをつける作業が必要になりますが、これは外す際と逆のことをするだけです。ピンを手ではめたあと同じようにピン抜きとハンマーでピンを叩いて無事エンドピース交換の完了です。
バンド交換
いよいよバンド交換作業に入ります。まずは時計本体(ヘッド)とバンドを外す作業ですね。バネ棒の外し方は時計の構造によって異なりますが、サブマリーナの場合裏からバネ棒を内側に押し込む必要があり、ここで使うのがバネ棒外しです。バネ棒外しを使って左右のバネ棒を内側にスライドさせることでバンドを外すことができます。
少々コツがいりますので作業が難しいと感じた場合は時計を傷つけない為にも時計店へ持ち込みましょう。
本体からバンドを外すことができればあとは簡単です。wena wristはクイックリリース式という、手で簡単にバネを操作できる作りになっていますので、工具不要で取り付けることができます。爪で片側のバネ棒を縮め本体の穴にはめた後、もう片方も縮めれば簡単に装着でき、これでバンド交換完了です。
使用感レビュー
初期設定
バンド交換完了後は使用を開始する前にスマートフォンとのペアリング等の初期設定が必要になります。まずバックル部分横にある電源ボタンを3秒長押しすると電源が入ります。その状態でスマートフォン側のbluetoothをオンにし接続画面を見れば「WN-W01」というデバイスが見つかると思いますので、そちらを選択して画面の指示に従います。パスコードの入力が求められると思いますので、バンド裏側に印字されているシリアルナンバー(S/N)の下6桁を入力すれば、ペアリング完了です。
次にアプリを使って初期設定を行います。マニュアルに記載されたQRコードから読み込むか、アプリストアからwenaというアプリを検索してインストールします。ペアリング済み状態で起動すると各種機能のオンオフや身長/体重の入力、通知アプリの選択画面が出ますので、画面の指示にしたがって進めれば初期設定完了です。
着用感
早速手首に装着しましたが、特に違和感を感じることはありません。元のバンドよりも重量があるせいか少しだけズシっときますが、小一時間も装着していれば慣れてほとんど気にならなくなります。見た目は良い意味で「普通の機械式時計」ですね。バンドが変わったことに気づいたのは機械式時計に興味のある人だけで、それ以外の人はそもそもバンドが変わったことにも気づきませんし、ましてスマートウォッチ化していることに気づく人はいませんでした。
見た目の質感については元のバンドがロレックスなこともあり良かったですので、元と同等レベルかと言われればそこまでではありませんが、交換ベルトとしてはじゅうぶんに上質だと思います。採用されているステンレス素材が高級腕時計にも多く使われるサージカルスティール(SUS316L)ということもあって、本体との一体感もあり全く気にならないレベルで馴染んでいます。
アプリ連携
wena wristはアプリと連携することで歩数計や通知機能が使えます。時間帯別の歩数を円グラフや棒グラフで表示してくれたり、おやすみモードを設定しておくことで夜間の通知を切って(おサイフ機能のみ)省電力モードにすることもできます。
また通知するアプリの数を増やしたり、通知時のカラーやバイブの回数(0〜3回)を変えることもできますので使い分けをうまくやれば優先度の高い通知かどうかも判断できるようになります。実際に使用しているとこれが非常に便利で、仕事関係の重要な電話をとり逃がすことがなくなりました。スマホをポケットにいれている状態でも、ある程度どのアプリからのものかわかるようになりましたので、優先度の低い場合はそのままに、高い場合はすぐに確認するというようなこともできます。電話や通知に気づかないことが多い私としてはとても便利な機能です。
iPhoneとの接続が一定時間切れた場合や手動操作で単体モードにすることもできます。これはスマホとの連携を切り、歩数計機能と電子マネー決済機能のみを使用可能にするモードで、ちょっとしたお出かけやスマホを忘れた場合でも連携以外の機能が利用できます。
電子マネーによる決済機能
wena wristに私が一番期待していたのはこの電子マネー機能です。使用しているスマホがiPhone 6S(ApplePay非対応)ということもあり今まで電子マネーはクレジットカードに付属しているものを使っていました。私の場合スマホはポケットにいれていることが多いのですが、財布はカバンに入れていることがほとんどです。ちょっとしたコンビニでの決済にわざわざカードを出すのが非常にめんどくさい上にカードもすぐに汚れてしまうのが嫌だったのですが、これで解決します。実際に使ってみましたが、常に身につけている時計を決済機にかざすだけで本当に便利です。決済機の位置によっては多少不自然な体勢になることもあるのですが、最悪の場合時計を外してタッチすることもできます。すでにスマホの電子マネー機能を使っている人でも、スマホを取り出さずに決済できるというのがいかにストレスフリーか感じることができると思いますのでおすすめです。
電子マネーについては前述のwenaアプリではなく別のおサイフリンクというアプリが必要になります。対応している電子マネーも多く使用する電子マネーの種類や発行元により操作方法が異なりますが、画面上の操作で非常に簡単に登録できますのでぜひインストールしておきましょう。
ただ一点残念なところがSuica等の交通系ICが対応していないことです。交通系ICは使用している人も多いですし、今後のアップデートでの対応に期待したいです。
バッテリー持続性と充電
wena wristはよくあるスマートウォッチとは違い画面がありません。そのためバッテリー消費がそこまで激しくなく1週間程度は持ちます。時計は毎日身につけるものですし、頻繁に充電をするのが嫌でしたのでこれも私にとってはかなり評価が高いポイントです。アプリを起動すれば現在のバッテリー残容量がパーセント表示されていますので、充電タイミングがわかりやすいのも良いですね。
実際の充電方法ですが付属のクリップでバンドを挟むという少し変わった方法になります。
クリップはバンドを挟む方向が決まっておりバックルのスリットを見ればすぐにわかるようになっています。このクリップ式ですがよく考えて作られているなと感心しました。ケーブルを直接挿すような場合だと本体に端子が必要になりますが、端子があるとガジェット感が増してしまいます。恐らくですが時計としての見た目の美しさにこだわるために、そのような端子をつけずクリップ式にしたのだと思われます。
wena wrist を1ヶ月ほど使用しての感想
自分の時計をwena wristでスマートウォッチ化して約1ヶ月が経ちました。ほぼ毎日身につけていますが、やはり素晴らしいデバイスだと感じています。生活にもちょっとした変化があって、例えばコンビニやスーパーにちょっと出かける時や犬の散歩時にiPhoneを持たずに家を出ることが多くなりました。少し前にiPhone 6SからiPhone Xに機種変更したためiPhone側でもApplePayを設定して電子マネーを使えるようにしているのですが、決済時はほぼwena wristしか使っていません。「iPhoneを取り出しApplePayを起動、認証して決済端末にかざす」という行動より、手首をかざすだけのwena wristの方が圧倒的に早くて便利ですからね。iPhoneのような携帯端末は紛失のリスクもありセキュリティ上認証が必要になるのは当然のことで、使用時の認証が不要というのはやはり手首につけ紛失の可能性が低い時計だからこそ実現できる最大のメリットだと思います。
通知機能も相変わらず便利に使えています。歩行時や自転車に乗っている時に電話やメッセージに気づかないことが本当に多かったのですが、とり逃がすことはほぼなくなりました。また取引先や知人友人と会話している時や食事中にバイブの種類やLEDの色から、さりげない仕草だけでどんな通知が来たのかある程度判別できるのも思っていた以上に良いです。会話が盛り上がっている時に携帯を取り出して確認するのは無粋だなぁというタイミングがあると思うのですが(取引先との重要な打ち合わせ中などもですね)、そんな時にiPhoneを取り出してまで確認する必要があるかどうかの指標になっています。
バッテリーについても今のところおやすみモード併用(AM2時〜AM8時)で1週間以上は問題なく使えています。この充電頻度の少なさも従来型のスマートウォッチに勝るメリットの一つですね。一応充電忘れのないように、毎週日曜夜間に充電するようにしていますが、その時点でまだまだ使えるだけの容量が残っています。万が一電池が切れた場合でも普通の時計として使うぶんには何の問題もないですし、バッテリーのことをあまり意識しなくて良い生活は結構ストレスフリーです。
新型 wena wristが2017年12月7日に発表
新型wena wristの発表が予告されました。ティザー広告からは小型のディスプレイ的なものが搭載されているように見えますが、どのような進化を遂げているのか非常に楽しみです。
詳しくはこちらをどうぞ。
まとめ
スマートウォッチの便利さに憧れ、ずっとAppleWatchを買おうか迷っていたのですが、もともとどうしても欲しかった機能というのは電子マネー対応くらいでしたので、このwena wristでほぼ満足できてしまいました。画面表示がないぶん他のスマートウォッチと比べて、できることは限られてしまいます。しかし時計というのはアクセサリーの一面もありますし、やはり私のように気に入った時計を身につけたいと考える人も多いのではないでしょうか。今後もちろん、より便利なAppleWatchやスマートウォッチを購入する可能性はありますが、それでも、このwenaでスマートウォッチ化されたサブマリーナを手放すことはないですし、気分やシチュエーションで使い分ける形になると思います。生活が変わったとまでは言いませんが、自分の時計をスマートウォッチ化できるという体験は素晴らしく、本当に便利でかっこいい製品です。
追記:Apple Watch Series 4を購入して、今はwenaと交互に使っています。Apple Watchのレビューはこちらをどうぞ。
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