会社を辞めて独立してから今月で3ヶ月目になりました。当初はこんな自分が会社という組織に頼らずに独力で仕事をしていけるのか非常に不安でしたが、今のところ、ありがたいことにいくつか仕事もいただき続けることができています。独立を決めてからは調べることも色々多く、何からすればいいのかわからない部分もありましたので、私が個人事業主になるにあたりやったこと・やってよかったと思ったことをお伝えしたいと思います。
今回の記事は前後編の構成になっており、こちらは前編となる営業準備編です。経理や事務関係は後編で書いていますので、そちらに興味のある方は後編をどうぞ。
はじめに
現在の状況や自分がどのような形で独立し事業を進めたいかによって一部変わってくるとは思いますが(私の場合はシステム開発/ディレクション業務)、最初の営業準備活動は今後仕事をしていく上で非常に重要な内容になります。
転職サイトへの登録
独立なのになぜ転職サイトに登録するのか
独立すると言っておきながらいきなり転職の話かよと突っ込まれるかもしれませんが、転職目的でやるのではありません。転職サイトに登録する場合、自身の今までの経歴やアピールポイントを記載することになります。実はこれがとても重要で意味のある行動で、転職サイトへ登録するといわゆる「経歴/スキルの棚卸し作業」をおこなうことができるのです。
業種にもよりますが独立すると基本的には色々な人と話す機会が会社員時代よりも増えます。新規に顧客を獲得する必要もでてきますし、銀行に融資をお願いすることもあるかもしれません。今までは会社として取引先等と話ができましたのが、独立してからは自分ひとりの価値で対面することになります。今まで自分がやってきた仕事の成果をまとめて整理して把握しておくことや、自分の強み・アピールポイントをしっかり分析してアウトプットしておくことは、そういう人との会話の場面で必ず役にたつことになります。
転職サイト登録の他のメリット
また転職サイトに登録すると色々な会社からオファーやスカウトがくることもあります。これはつまり自分の経歴に興味を持ってくれる会社が存在する=新規顧客になる可能性があるということです。実際に自分では思ってもみなかったような異業種から声がかかり、自分の持つ経歴やスキルにそんな使い方があったのかと気づかされることも多いです。
そして同時に独立に対する自分の思いの強さもはかることができます。世の中には自分の知らない様々な仕事が存在していることを転職サイトを通して知ります。今の仕事よりも自分に向いていて給与も高い魅力的な仕事も見つかるかもしれません。それらを見た上でも独立したい気持ちが変わらなければ独立すべきですし、そうでないのであれば転職という道を選ぶのも決して間違いではないように思います。
ちなみに私が登録した主要転職サイトはこちらです。
転職なら【DODA】
マイナビエージェント
テクノプロキャリア-エンジニア転職-
営業ツールの準備・作成
屋号を考える
個人事業主とは法人ではなくただの一個人ですので屋号が絶対に必要な訳ではありません。ですので自分の個人名で活動することももちろんできますが、私としてはやはり屋号はつけておいたほうがいいと思います。自分がもし誰かと取引する場合、もちろん中身を最重要視しますがそれでも個人名で活動している人と屋号をつけている人では屋号をつけている人の方が信頼できるイメージを持ってしまうためです。これから先少しでも活動の幅を広げるために、やってもデメリットがないことならば、仮にメリットを感じなくても「やる」ようにしていくことが大事だと思います。
サイト(ホームページ)や名刺を作成する
屋号が決まれば次は自分を紹介できるツールが必要になります。名刺についてはほとんどの人が作ると思いますが、今はネット時代ですのでホームページも自分の情報発信の場として作成しておいたほうが良いです。これも上で説明した「やらなくてもいい」ことならば「やる」ほうがいい理論ですね。
またホームページ作成には自分の紹介ツールとしてだけではなく意外なメリットもありました。まずホームページを作ろうと思った場合ドメイン(***.comであれば***の部分)を調べる必要があります。これは早いもの勝ちですので既に同じドメインが登録されている場合は登録できないのですが、これを調べる作業をすることで同じような屋号で同じような業務をしている人や組織がいないか確認できます。近場で同じような活動をしている人がいる場合は紛らわしいですので屋号の変更を検討したほうが良いと思います。
ホームページ作成の意外なメリット
他にもホームページ作成にはメリットがあります。私の場合あまりネット関係の業務はおこなっていなかったのですが、今回自分でホームページを立ち上げてみて色々と勉強になったことや経験できたことがあります。つまり自分のスキルが少しだけ上がったことになります。私のホームページはAWSというamazonのサービスを使ってサーバーを構築し、そこにWordpressというCMS(コンテンツ管理システム)を入れて運営しているのですが、ネットで調べたりしながら全て自力でやったおかげで同じような案件であれば、こなすことができるようになりました。そして実際に同じような案件の仕事をとることができています。ですので自分の知らないこと・経験したことのないことにも、積極的にチャレンジすることは重要です。最近は簡単にサイトが構築できるレンタルサーバーなんかもありますのでぜひ作りましょう。
ちなみに作る順番ですが屋号→ホームページ(メールアドレス)→名刺の順をお勧めします。名刺にはだいたい屋号とホームページのURLを載せると思いますので、この順にやらないと名刺の作り直しで余計な経費がかかりますからね。
営業活動の準備
クラウドソーシングサイトへの登録
個人事業主にとってもっとも重要かつ最大のハードルは顧客の開拓です。いくら素晴らしい経歴や優れた技術を持っていたとしても、それに価値を見出しお金を支払ってくれる人がいなければ仕事をすることができません。既にコンシューマー向けに何か販売できるモノやサービスを持っている場合は別かもしれませんが、それでもやはり取引先というのはどんな形であれ必要になります。
今までの人脈であったり飛び込み営業であったり、自分を売り込む手段はたくさんありますが、クラウドソーシングサイトへの登録もその一つです。転職サイトの部分でも触れましたが、自分の強みをしっかりと自覚して発信できれば必ずそこに価値を見出してくれる人はいます。ですがひとつの手段だけではそういう出会いの機会が限られてしまいます。クラウドソーシングサイトに限らず自分を発信できる機会や場は多ければ多いほど、出会いのチャンスも増えますので、使えるものはどんどん使うようにしていったほうが良いです。(このブログもその一環です。)
主要クラウドソーシングサイトはこちらになります。
クラウドワークス
ランサーズ
フリーエンジニアの案件探しは、レバテックフリーランス
フリーエンジニア高額案件多数【ギークスジョブ】
事業計画書の作成と助成金・補助金の申請
助成金・補助金とは
助成金や補助金とはいずれも国や地方自治体から提供される返済が不要な事業に使えるお金のことです。独立を考えるまで調べることもなかったのですが、意外と個人事業者向けにも助成金や補助金というのも存在します。雇用や人材開発支援関係の助成金もいくつかありますが、独立を検討中/独立直後であれば、まずは創業補助金という制度に申し込むことができます。これは創業にかかる経費を部分的に補助してもらえる制度で個人事業主でも応募が可能です。募集要項は年度によって変わることが多いですので、詳しくは中小企業庁のHP等を確認してみてください。
事業計画書を作成する理由
この創業補助金についても実は単純に補助金がもらえるということ以上のメリットがあります。補助金制度に応募するためにはある程度詳細な「事業計画書」を書かなくてはいけません。事業計画書には詳細な事業内容、将来の展望、事業に対する熱意、6ヶ年スケジュールと売上予測などなど、たくさんの内容を書く必要があります。当然まだ独立前や独立直後でここまで詳細な計画を立てていない人も多いと思いますが、これからの事業の展望や将来をより具体的に想像することができるようになります。計画書を書いてみると意外と自分の見込みが甘かったことに気づかされることも多いです。この新たな「気づき」というのは非常に重要ですし、将来の展望を具体的にイメージできるかどうかは今後の事業展開の成否を左右するものだと思います。ですので、補助金が特に必要ない人でも、むしろ補助金が出ればラッキーくらいの感覚で事業計画書の作成に取りかかってはいかがでしょうか。
挨拶回り
独立前
独立を考えた場合まずは当然のことながら現在お世話になっている会社に退職の意思を伝えなければいけません。よく退職時のトラブルの話を見聞きしますが、今後のことを考えるのであればなるべく円満に退職できるようにすべきです。というよりこれから独立しようと考えている時に印象を悪くして良いことはひとつとしてないはずです。独立の意思も伝え、退社後も会社が困らないように業務の引き継ぎ等もしっかりおこない、なるべくならば応援してもらえるくらいの関係性を作れることが理想ですね。独立の理由が様々で、もしかすると今の会社に不満がある人もいるかもしれませんが、この際そんなことは忘れてしまいましょう。独立する以上、応援してくれたり助けてくれる可能性のある人は一人でも多い方が良いです。
独立後
独立開業したことを周囲の人たちに報告しておきましょう。メールでも電話でも、直接訪問してもいいと思います。過去に取引のあった人や仕事の繋がりがあった人に一人一人連絡を入れておくようにします。ただし基本的には会社の一員としての自分と付き合ってくれていた人たちですので、何か仕事を回してくれたりというような甘い期待しない方がいいです。ただ上でも書いたように手助けしてくれる人が多いに越したことはありません。独立したことを知ることがなければそもそも応援すらできませんので、なるべく多くの人に連絡をしておきましょう。
最後に
独立を決めたらなるべく早く、そして積極的に行動することが大事です。そしていざ独立して色々とやってみれば意外となんとかなることも多いです。ここに書いたことはあくまでも私がやってよかった、役立ったと思った内容です。もしかしたら人によってはやらなくてみいいことや、もっと役立つ内容があるかもしれませんが、独立を考えている人や独立後に何をすればいいか悩んでいる人の参考になれば幸いです。
後編では経理や事務関係の内容をまとめていますので、よろしければそちらもご覧ください。
コメント