デジタルカメラ市場において、最近は高性能なミラーレス機がかなり普及してきていますね。しかし、豊富な交換レンズ群、感度設定など撮影が難しいシーンでの性能差、電池の持ちの良さなどでは、まだデジタル一眼レフタイプに軍配が上がる状態です。
そこで今回は、これから本格的にカメラを始めたい、あるいはミラーレスからワンランクアップしたいという人にとっておすすめの、初心者から中級者まで使えるデジタル一眼レフ機を紹介したいと思います。
ミラーレスと一眼レフの違い
よく比較されるミラーレスと一眼レフですが、センサーが35mmフルサイズ、APS-Cサイズ同士を比べた場合、両者の画質差はほとんどないと言っていいでしょう。
しかし、一眼レフには、一眼レフでなければ実現できないメカニズムとメリットがあります。例えば夜景や運動会など、撮影が難しいシーンでの撮影は、やはり一眼レフに軍配が上がります。その差を生み出すのは、ISO感度、手持ちでもぶれにくい形状などですね。
ではそれぞれどういうユーザーに向いているかというと、ミラーレスは、コンパクトデジカメとさほど大きさの変わらないカメラで、気軽に高画質を楽しみたい、いわばモバイル派です。
対して一眼レフは、一つの趣味としてカメラを楽しみたい、写真を撮るだけでなくメカも好き、大きさが所有欲を満たしてくれるというタイプに向いています。また一眼レフには豊富な交換レンズ群があり、それぞれのメーカーが販売しているレンズは、長年の技術の蓄積がレンズという形に結晶したものとも言えますね。
そんなデジタル一眼の中で今回紹介するのは、どちらかと言えば入門機という位置付けのモデル。スペックとしては全てCMOSセンサーがAPS-Cサイズ、動画撮影が可能な製品であり、レンズ付きのキットです。ぜひこれら「入門機」でデジイチの楽しさをつかみ、コンパクトデジカメやミラーレスにはないデジイチの奥深さを体験してもらえればと思います。
キヤノン EOS Kiss X10 ダブルズームキット
コンパクトなボディ
2019年4月25日に発売されたEOS Kiss X10。歴代のEOS Kissがこだわってきたのは、可能な限りコンパクトであることですが、この製品も当然その流れを継承しています。
本機はバリアングル液晶モニタを搭載したデジイチ機種の中で世界最軽量という449gという軽さを実現。実際に手にとって見るととても軽く、大きさもミラーレス一眼よりも少し大きい程度です。
それを生かした機動性に加え、ダブルズームキットでは広角側で主に使えるEF-S18-55mmISレンズと、EF-S55-250mm IS という望遠レンズをセット。レンズは手ぶれ防止機能付きで幅広いシーンで活躍してくれます。
あなどれない高性能
カメラの基本スペックとしては、最大約2410万画素、9点測距点、63分割TTL開放測光、ISOは51200まで設定可能、連続撮影最大5.0コマ/秒。初級機とは思えないほどカメラの基本性能もしっかりしていますね。
バリアングル液晶モニタ、ライブビューが非常に便利
EOS Kiss X10を使う上で非常に便利なのが、バリアングル液晶モニタ。すでにビデオカメラではおなじみの機能ですが、モニタの角度を自由に変えることができるため、ハイアングルやローアングルで思い切った構図にもチャレンジできます。
ライブビューは、タッチパネルを操作してスマホ感覚で撮影できる機能で、基本を覚えればあとは感覚で操作できますね。もちろんデジイチらしく光学ファインダーを覗いての撮影もできます。
X10は高度な描写性能を持ちながら、気軽に持ち出せる大きさのカメラで、まずはデジイチの世界に足を踏み入れたいという方にとって、非常におすすめできるモデルとなっています。
キヤノン EOS 9000D レンズキット
Kissのワンランク上位モデル
2017年4月7日に発売されたEOS 9000D。Kissシリーズはエントリーモデルとして認知されていますが、この9000Dはそれよりワンランク上のモデルですね。「Kiss」というネーミングは親しみやすい反面、初心者に見られやすいという声があるのも事実で、9000Dはそうした方のニーズを満たしています。
基本スペックは、最大約2420万画素、45点測距点、ISOは100~25600、WiFi/Bluetooth搭載、上部表示パネル・サブ電子ダイヤル・AF-ONボタン搭載など。レンズキットは、EF-S18-135mmレンズつきです。
上位モデルならではの特徴
9000Dでは、カメラの設定を一目で確認できるパネルを上部に搭載しています。そこに表示されるのは、シャッタースピード、絞り、ISO感度、ドライブモード、撮影可能残り枚数など。夜間でもボタンクリックで明るく表示されるため、様々なシーンで便利に使えますね。
また大きさも、幅と高さではKissよりも一回り大きく、重さは約2割重くなっていますので、構えたときのホールド感や安定性はよくなります。
高速AF、進化したAIサーボ
そして9000D最大の特徴とも言えるのが、高速AF(オートフォーカス)性能の良さ。オールクロス45点AFセンサーによって、AFポイントから正確かつ高速にピント合わせが可能となっています。動きのある被写体にピントを合わせ続ける「AIサーボAF II」も進化していますね。
この2つの性能差については、どこに焦点や露出を合わせて撮るかというとき、操作感覚がかなり違います。狙った被写体に即座にピントが合う、動いている被写体にピントを合わせたまま追いかけ、好きなところでシャッターを押すことができるのは、撮影をする上で非常に快適です。
9000DのAF性能は、中位機種の80Dと同等と言っても良いレベル。性能は中位機種並みでありながら、ボディは軽量コンパクトがいいという人におすすめのカメラです。
ニコン D3500 ダブルズームキット D3500WZ
ニコンの初心者向け一眼レフ
D3500ダブルズームキットは、2018年9月28日に発売されたニコンにおける初心者向け一眼レフで、キヤノンのEOS Kiss X9のライバル機種と言える存在。画素数約2416万、11点測距、ISO100~25600、Bluetooth搭載というスペックです。
ダブルズームキットには18-55mm f/3.5-5.6G VRと70-300mm f/4.5-6.3G ED VRが付属。末尾の「VR」とは、(Vibration:振動 Reduction:減少)で、いわば手ぶれ補正レンズです。
本体重さは415gと、540gのX9よりかなり軽量ですね。ただし軽いということは、持ち運びには有利でも、構えるときの安定感が減ることでもあります。とはいえ、この軽さは特筆すべきもので、ちょっと大きめのハンドバッグならすっぽり入ってしまうほど。またボディも軽いので、女性でもしっかりホールドできます。
シーン認識システムが便利
D3500には「シーン認識システム」が搭載されています。これは420分割RGBセンサーと高画素撮像素子で撮影シーンの色や明るさから、どんな撮影シーンなのかをカメラが撮影前に分析し、そこから得た情報でオート機能の制御精度を高めるというニコン独自の技術ですね。
他の一眼レフにも「オート」機能はありますが、ここまで初心者向けの機能は他にあまり例がありません。はじめての一眼レフカメラでも、この機能があれば綺麗な写真が簡単に撮れるでしょう。また、撮った写真をスマホに自動転送できるSnapBridge機能は、SNSに写真をアップする機会が多い最近では、非常に便利ではないでしょうか。
ニコン D5600 ダブルズームキット D5600WZ
D3500の上位機種
2016年11月25日に発売されたD5600。こちらは先に紹介したD3500の上位モデルであり、2416万画素、39点測距、ISO100~25600、高速連続撮影約5枚/秒、WiFi、Bluetooth、バリアングル液晶モニタ、タッチパネル、SnapBridge搭載というスペックですね。
ダブルズームキットには、ニコンのレンズ18-55mm f/3.5-5.6G VR、70-300mm f/4.5-6.3G ED VRが付属。本体は465gとD3500に比べて若干重くなりますが、それでもかなり軽量です。
中位機種並みの多機能
D5600では、機能がかなり充実してきます。バリアングル液晶モニタを使えばローアングルやハイアングル撮影も可能ですね。
また設定によってモニタをタッチパネルに変更でき、ISO感度など撮影条件をはじめ、タッチシャッター、撮った写真を探せるスクロールバー、拡大縮小、トリミングなどが可能です。
高性能なカメラ本体
D5600では2416万画素のCMOSセンサーによって、より美しい写真撮影が可能に。画素数自体はD3500と同等ですが、そこはメーカーもきちんと差別化をしており、白飛びや黒つぶれがしにくくなるなど、描写力は上がっています。
高速連続撮影の性能も、D3500と同じ5コマ/秒ですが、39点測距によって(D3500は11点)、被写体をより性格に捉えることが可能になっていますね。また、シーン認識システム、3D-トラッキング、オートエリアAFなどによって、様々なシーンでの撮影において被写体を狙いやすくなっています。
D5600は、ニコンのカメララインナップのなかではエントリーモデルに近い位置づけ。D3500にはないバリアングル液晶を便利だと感じる人、子どもの成長などをカメラで追ってみたい人、そして本格的にカメラを趣味にしたいという人に最適なモデルと言えます。
ペンタックス K-70 DA18-135mmWRレンズキット
ISO102400という高感度
2016年7月22日に発売されたペンタックスのK-70。主なスペックは、画素数は約2424万画素、11点測距、77分割測光、ISO100~102400、約6コマ/秒の高速連続撮影、バリアングル液晶モニタ、ボディ内手ぶれ補正、WiFi搭載、質量628g (本体のみ)となっています。
他に紹介したモデルより基本設計は古くなりますが、特筆すべき点は、何と言ってもISO102400という超高感度。これにより、暗い室内や夜景での撮影の幅が、大きく広がりますね。
また、防塵・防滴構造、氷点下10度での動作保証など、厳しいアウトドア条件での撮影も可能です。グリップやボタンも手袋をした状態で操作できるように考えて作られており、あらゆるシーンでも活躍するカメラと言えます。
高いコストパフォーマンス
ISO感度でも分かるように、ペンタックスの一眼レフカメラの特徴は、エントリー・スタンダードモデルでも上位機種に迫る機能を備えていることが多く、コストパフォーマンスが高い製品が多いですね。例えば一眼レフの特徴でもあるミラーですが、K-70はミラーよりコストのかかるペンタプリズムを採用。これによりファインダーはクリアで見やすくなっています。
さらには、フルHD動画を毎秒60フレームで撮影でき、タイムプラス撮影などが可能な点もポイントでしょう。手ぶれ補正機能は本体内にあるので、レンズを交換しても問題なく補正してくれます。
K-70もそうですが、小さいわりに重いという評価が多いペンタックスのカメラ。重いことは持ち運びを考える上ではデメリットになりますが、構えるときにぶれにくいというメリットもあります。重さよりも安定感や構えやすさを重視する人にとっては、これもある意味で魅力のひとつと言えるのではないでしょうか。
まとめ
スマホやコンパクトデジカメのように、どこでもすぐに撮影できるカメラに比べ、デジタル一眼レフは持ち運びやレンズ交換の手間がかかります。しかし、高スペックなカメラ性能と様々なレンズがあるからこそ、デジタル一眼レフにしか撮影できないような写真がありますし、それこそがデジタル一眼レフの魅力と言えるでしょう。
スマホカメラがかなり高性能化したとは言え、画質はもちろん表現力という点では、やはりデジタル一眼レフがまだまだ優れています。写真というのは本格的な趣味にもできるほど奥が深いものですので、お気に入りのデジタル一眼レフを見つけてその1歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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