「吸引力が変わらない、ただひとつの掃除機」のキャッチコピーでお馴染みのダイソン。独自のサイクロンテクノロジーで一躍その名を世界中に広め、羽のない扇風機やヘッド部分が空洞のドライヤーなど、革新的な機能とデザインを併せ持った生活家電を次々生み出しているメーカーですね。
中でも人気が高いのは、ダイソンの代名詞とも言えるコードレス掃除機。しかしダイソンのコードレス掃除機には様々な価格帯の様々なモデルが存在しており、、具体的にどのような違いがあるのかわかりづらいですよね。
そこで今回は、ダイソンのコードレス掃除機を徹底比較。現行販売品となる「V7」「V8」「V10」の3シリーズをピックアップして、性能や特徴の違いをモデル別に解説したいと思います。比較する上で必要な独自の技術やパーツについても説明しているので、今までダイソン製品を視野に入れていなかった人も是非チェックしてみてくださいね。
知っておきたい予備知識
サイクロンテクノロジーとは
ダイソンの掃除機において中核となる技術であるサイクロンテクノロジー。これは遠心力を利用して空気とゴミを分離する方法のことで、紙パックを使わずにダストカップ内にゴミを集めるのが特徴です。各メーカーから数多くのサイクロン掃除機が販売されていますが、ダイソンは「多段サイクロン方式」を採用することにより、他社製品との差別化が図られていますね。
具体的な構造としては、まずシュラウド(メッシュカバー)内蔵のクリアビン(ダストカップ)で、サイクロンを発生させてゴミを除去。次に、クリアビン上部の小型サイクロン装置でさらに強力な遠心力を加え、微細なチリやホコリをキャッチするという形になります。
こうした複数のサイクロン機構により、ゴミを効率的に集じん。さらにフィルターも目詰まりしにくいため、お手入れの回数も減らすことができるというわけですね。
世代で異なるデジタルモーター
デジタルモーター(Dyson Digital Mortor)とは、回転部分(ローター)に長時間磁力をキープできる永久磁石を用いた「ブラシレスDCモーター」のことで、ハイパワーでありながら省エネルギーなことが特徴。電子回路を利用して電流の向きを切り替えるため、バッテリーの電圧が変化しても安定した速度で運転できるといったメリットもあります。
V7、V8、V10は心臓部となるこのデジタルモーターに違いがあり、型番もモーターの名称が由来となっています。ダイソン初のコードレス掃除機「DC35」にV2を搭載した2011年以降、何度も改良を重ねて現在に至るというわけですね。なお、V9はヘアードライヤーに採用されているため、V8の後継モデルはV10となっています。
迷った時はヘッドの種類で選ぶ
V7シリーズは3種類、V10シリーズでは5種類が展開されていますが、シリーズごとの本体スペックは全く同じ。最大の違いは2種類の「床用ヘッド」にあり、さらに付属品の「専用ツール」や延長管やサイクロン部分のカラーが異なります。同シリーズ内のモデルで迷った場合は、ゴミの集じん性能に大きく影響する床用ヘッドから決めるようにしましょう。
ソフトローラークリーナーヘッド
ベルベッドのように柔らかい素材でできているソフトローラークリーナヘッドは、床を傷つけにくく、フローリングや畳の部屋に最適なヘッドとなります。ナイロンフェルトのローラーで大きなゴミを巻きこみ、カーボンファイバーブラシで静電気を抑えつつホコリを吸い取ることができるのが特徴ですね。
約25cmの幅広ヘッドで広い面積を効率よく掃除でき、ぞうきん掛けしたかのような乾拭き効果も得ることができます。ローラー部分は取り外し可能で、水洗いができる点もポイントと言えるのではないでしょうか。
ダイレクトドライブクリーナーヘッド
硬めのナイロンブラシを搭載しているダイレクトドライブクリーナーヘッドは、絨毯やカーペットなどの毛足の長い敷物で威力を発揮します。従来の掃除機では取りきれなかった動物の抜け毛や糸くずに加えて、通電性に優れたカーボンファイバーブラシを採用することで、帯電して床に張り付いたゴミを吸引。床面との密着度が高く、繊維の奥に潜むホコリもしっかりかき出すことができます。
購入における注意点
公式ストアではヘッドの単品販売はしていません。amazonなどで並行輸入品を購入する方法もありますが、日本とアメリカでは適合機種が微妙に異なるため注意が必要です。総合的に見れば、希望するヘッドがあらかじめ付属しているモデルを購入した方が長期的にお得と言えるでしょう。
ちなみにダイソンでは価格保証制度を取り入れており、ダイソン指定の家電量販店の最安値に合わせるサービスを行っています。下記の各モデルごとに記載している価格は、公式ストアで発表している2019年1月時点のものですので、おおよその参考価格として目安にしてください。
Dyson V7シリーズ
V8の基本的な機能を引き継ぎながらも軽量化に特化し、現行モデルのエントリークラスという扱いになる「Dyson V7シリーズ」。最大出力350Wのパワーで、毎分110,000回転もの高速回転が可能な「デジタルモーターV7」を搭載していながら、本体重量は約2.4kgと非常に軽いのが特徴ですね。価格も控えめなラインナップなので、予算や軽さを重視したいときにおすすめのモデルと言えます。
運転モードは2段階で切り替えることが可能。吸引力の目安となる吸込仕事率は通常モード28W、強モード100Wとなっており、連続運転時間は通常モード30分、強モード6分(床用ヘッド未装着)となっています。バッテリーの充電は、従来モデル最速の約3時間半。V7以前の5時間以上かかるモデルばかりでしたので、1時間半も短縮できるのは嬉しいポイントではないでしょうか。
ゴミの分離については、特許技術の「2 Tier Radial™(ティアーアラジアル)サイクロン」を採用。15個のサイクロンを2層に配置することで、分離能力の精度を高めています。またサイクロン上部の「プレモーターフィルター」、排気口部の「ポストモーターフィルター」の二段構えで、極微細なゴミを捕えるところも特徴ですね。溜まったゴミは、クリアビンに内蔵されたスクレイパーでこそぎ落とす方式となっており、手を汚すことなくスマートにゴミ捨てできる点も魅力のひとつと言えます。
Dyson V7
フローリングや畳で使いやすい「ソフトローラークリーナーヘッド」を標準装備している「Dyson V7」。延長管のカラーはブルーですね。
付属する専用ツールは、家具の隙間やガラスサッシの溝などの掃除に便利な「隙間ノズル」と、用途に合わせて使い分けができる「コンビネーションノズル」、収納しながら充電できる「収納用ブラケット」の3種類となっています。
付属のアイテムが少ないため、価格は52,704円(税込)と比較的リーズナブル。とりあえずソフトローラークリーナーヘッドが欲しい人や、ダイソンの掃除機を初めて購入する人も手に入れやすいモデルと言えます。
Dyson V7 Fluffy
こちらの「Dyson V7 Fluffy」も、先ほど紹介したモデルと同じく、床用ヘッドに「ソフトローラークリーナーヘッド」を搭載した製品。延長管も同色のブルーですね。
異なる点は、「隙間ノズル」「コンビネーションノズル」「収納用ブラケット」に加えて、「ミニモーターヘッド」と「ミニソフトブラシ」の合計5種類の付属品があること。ミニモーターヘッドは、ブラシ部分が「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」と同じ素材になっており、幅約14.5cmと非常にコンパクトながらパワフルな集じん力が特徴です。対して、ミニソフトブラシは内側に柔らかいフェルト素材が用いられているので、デリケートな場所でも使いやすいですね。
価格は59,181円(税込)とV7シリーズ内では一番高額ですが、床用ヘッドが実質2種類手に入ると思えば、なかなかお得なモデルと言えるのではないでしょうか。
Dyson V7 Motorhead
V7シリーズで唯一「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」を装備している「Dyson V7 Motorhead」。動物の抜け毛や絨毯の奥のホコリなどに効果的なヘッドのため、ペットを飼っている人やアレルギー体質の人におすすめしたいモデルと言えます。延長管はピンクカラーですね。
付属品に関しては「Dyson V7」と同じく、「隙間ノズル」「コンビネーションノズル」「収納用ブラケット」の3種類のみですが、価格はダイソン製のコードレス掃除機の中でもっとも最安値の49,464円。50,000円を切る値段でダイソンの掃除機が購入できるということで、リーズナブルさも魅力のモデルと言えると思います。
Dyson V8シリーズ
2016年の発売以来、根強い人気を誇るのがこの「Dyson V8シリーズ」。475Wの出力で毎分最大110,000もの回転をする「デジタルモーターV8」により、非常に強力な吸引力を持ったコードレス掃除機となっています。
気になる仕事率と連続時間は、通常モード28W/40分、強モード115W/7分(床用ヘッド未装着時)と、デジタルモーターV7よりもハイスペック。バッテリー残量はハンドル部分のインジケーターで把握でき、掃除途中の充電切れも回避できますね。ただし本体重量が約2.61kgと200gほど重く、約5時間の充電が必要となるため、一度にまとめて掃除したい人向きのモデルとなります。
V7と同様に、こちらも「2 Tier Radial™サイクロン」、「プレモーターフィルター」、HEPAフィルターと同レベルの空気清浄機能をもつ「ポストモーターフィルター」を搭載。0.3ミクロンの微粒子を99.97%以上捕まえるので、掃除しながら空気もキレイにできるというわけですね。もちろんワンタッチのゴミ捨て機構も装備しており、クリアビン内に挟まったゴミが簡単に捨てられる点も同じです。
V6以降のモデルに採用されている「スムーズフィット」も注目すべきポイントではないでしょうか。床用ヘッドや専用ツール側に取り外し用ボタンが搭載されており、ワンプッシュで装着可能です。なお、差込口が異なるためV6以前のアタッチメントとは互換性がありませんが、amazonなどで販売されている変換アダプターを使えば旧型も使い回しできるようです。
Dyson V8 Fluffy
現行品として公式ストアで販売されているV8シリーズは、こちらの「Dyson V8 Fluffy」のみ。「ソフトローラークリーナーヘッド」が標準装備されており、延長管はパープルカラ―です。
専用ツールとしては「Dyson V7 Fluffy」と同じく、「隙間ノズル」「コンビネーションノズル」「収納用ブラケット」「ミニモーターヘッド」「ミニソフトブラシ」の5点を同梱。これらのアイテムは細かい部分や狭い場所にぴったりのアイテムなので、家の中に限らず車内でも活躍してくれそうですね。
価格は64,584円(税込)。ダイソンのコードレス掃除機の中では性能も価格も平均的で、バランスの取れたモデルとなっています。価格を抑えたいけれど、掃除時間はたっぷり欲しいという人におすすめのモデルですね。
Dyson V10シリーズ
ハイエンドモデルとなる「Dyson V10シリーズ」は2018年に登場した最新機種。搭載される「デジタルモーターV10」は、ダイソンの創業者であるジェームス・ダイソンに「もうコード付き掃除機は開発しない」と宣言させるほどの完成度で、まさにダイソンのコード付き掃除機開発に終止符を打つきっかけとなったモデルですね。なんと最大出力525W、毎分125,000回転というハイパワーさを実現しています。
クリアビン、フィルター、モーターを直線的に配置したことも特筆すべき点ですね。この新たな配置により重心バランスが安定するため、実際の重量である2.58kgもの重さを感じにくく、取り回しやすく改良されてます。さらに今まで個別だった「プレモーターフィルター」と「ポストモーターフィルター」を一体化。空気の流れがよりスムーズになり、吸引力アップだけでなく、運転時の甲高い金属音の軽減にも繋がっているというわけです。またゴミ捨てについても、さらに埃が舞いにくい構造に改良されていますね。
運転モードは3段階で調節でき、低モード13W/60分、中モード28W/30分、強モード130W/5~8分(床用ヘッド未装着)と、吸込仕事率、連続運転時間ともにグレードアップ。バッテリーのチャージも約3時間半という短い時間でフル充電が完了します。電池残量を示すインジケーターに加えて、フィルターの目詰まり時に点灯するランプも備えているため、お手入れのタイミングも一目でわかりますね。
ハンドルの底面には滑り止めゴムが装着。壁や家具に立てかけた際、転倒しにくい仕様になっています。掃除中に休憩したい時や、家具を移動させたい時に重宝しますね。ちょっとした場所にも収納できるので、デッドスペースの活用にも一役買ってくれるでしょう。
Dyson Cyclone V10 Fluffy
「ソフトローラークリーナーヘッド」を搭載する「Dyson Cyclone V10 Fluffy」。V10シリーズのスタンダードモデルで、延長管のカラーはオレンジです。
専用ツールは、「隙間ノズル」「コンビネーションノズル」「収納用ブラケット」「ミニモーターヘッド」「ミニソフトブラシ」の5種類。「Dyson V7 Fluffy」や「Dyson V8 Fluffy」に同梱されているものと同じアイテムがついてきます。
V10のラインナップ内ではもっとも付属品が少ないですが、75,384円(税込)とV10シリーズの中では最も安く、この価格で最新機種が購入できるのは嬉しいですね。
Dyson Cyclone V10 Fluffy+
こちらも「ソフトローラークリーナーヘッド」が標準装備になっている「Dyson Cyclone V10 Fluffy+」。延長管はレッドカラーになっています。
先ほどのモデルとの違いは「ミニソフトブラシ」が付属しない点です。その代りに、布団やクッションなどのハウスダスト除去に便利な「フトンツール」、60cm伸びる「延長ホース」、高い場所も楽に掃除できる「アップトップアダプター」の3種類が同梱されています。
価格は、一通りの専用ツールが揃って86,184円(税込)。やや高く感じるかもしれませんが、様々な場所がこれ1台で効率的に掃除できると思うとお得感がありますね。
Dyson Cyclone V10 Animal+ (直販限定セット )
床用ヘッドに「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」がついた「Dyson Cyclone V10 Animal+」は、その名の通りペットの抜け毛もどんどん吸い込んでくれます。ちなみに公式ストア及び直営店限定モデルで、延長管の色はパープルカラーとなっています。
標準装備のヘッドが異なるだけで、付属品は先ほど紹介した「Dyson Cyclone V10 Fluffy+」と全く同じ「隙間ノズル」「コンビネーションノズル」「収納用ブラケット」「ミニモーターヘッド」「フトンツール」「延長ホース」「アップトップアダプター」の計7種類。価格も同額の86,184円(税込)となっています。ペットを買っている人やハウスダストなどのアレルギーがある人に、非常におすすめできるモデルと言えるのではないでしょうか。
Dyson Cyclone V10 Absolutepro
「ソフトローラークリーナーヘッド」と「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」の両方がセットになっているのが、この「Dyson Cyclone V10 Abxolutepro」。延長管はオレンジカラーで、2種類の床用ヘッドがついてきます。
付属品は今まで紹介した専用ツールの全部盛り。「隙間ノズル」「コンビネーションノズル」「収納用ブラケット」「ミニモーターヘッド」「ミニソフトブラシ」「フトンツール」「延長ホース」「アップトップアダプター」の合計8アイテムが勢揃いするというわけですね。
価格はダイソンの現行コードレス掃除機でもっとも高い99,144円(税抜)ですが、このセットさえあればどんな場所でもしっかりとお掃除ができると思います。
ダイソン公式サイトでV10 Absoluteproの詳細を確認
Dyson Cyclone V10 フロアドック付き (直販限定セット )
最後にご紹介する「Dyson Cyclone V10 フロアドック付き」は、「Dyson Cyclone V10 Animal+」と同じく公式ストアや直営店のみで購入できるモデル。「ソフトローラークリーナーヘッド」を装備しており、延長管はレッドカラーです。
フロアドックとは充電できる専用スタンドのこと。以前から同様の機能を持ったスタンドが別メーカーから販売されていましたが、それが遂に公式のアクセサリーとなりました。収納のスタンドとして「収納用ブラケット」も付属していますが、こちらは壁にネジ止めせずとも自立します。さらに「ハードブラシ」「ミニソフトブラシ」「フトンツール」「延長ホース」「アップトップアダプター」の5点が収納できる優れもの。もちろん「隙間ノズル」「コンビネーションノズル」「ミニモーターヘッド」も同梱されています。
価格は91,584円(税込)と高めですが、掃除機とワンセットになっているので、思い立った時に専用ツールがすぐ装着できますね。すっきり収納したい人や、壁に穴を開けたくない人は、選択肢のひとつに加えてみてもいいかもしれません。
まとめ
今回は現行販売されているダイソンのコードレスクリーナーを、モデル別にまとめてみました。複数のシリーズに加え、その中にも様々なモデルが存在していますので、ぜひ自身の利用シーンを想定して最適な1台を選ぶようにしてくださいね。
ダイソンのコードレス掃除機は楽天やamazonなどの様々なショップで販売されていますが、公式サイトで購入した場合、30日間の返品システム(未使用・未開封のみ)や、2年間のメーカー保証などのメリットがあります。量販店やネットショップより割高にはなるものの、キャッシュバックやプレゼントといったキャンペーン(2019年1月現在は、直販購入者を対象に「フレキシブル隙間ノズル」のプレゼントキャンペーンを実施中)も不定期で行っているため、購入を検討している人は公式サイトの確認もおすすめです。
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