「スマートホーム」という言葉の広がりと共に、それに対応した製品が続々と登場していますね。私もスマートスピーカーやスマート家電リモコンをはじめ、現在自宅のスマートホーム化を進めており、次は自宅の鍵をスマートフォンなどで操作できるスマートロックを導入しようと考えていました。
しかし同じような機能を持つスマートロック製品はいくつか販売されています。どれを導入するか迷ってたところ、すでにSmart Lock(スマートロック)という製品を販売していたQrio(キュリオ)から、様々な点が改良された新製品「Qrio Lock(キュリオロック)」が発表。ほぼ自分がスマートロックに求める機能が入っていることから、自宅へ導入してみました。
そこで今回はその新型Qrio Lock(Q-SL2)と、同時に購入した外部からの鍵操作やスマートスピーカーからの操作を可能にするQrio Hubをあわせて、レビューをしていきたいと思います。
Qrio Lockについて
工事不要で手軽に設置できてスマホなどから操作が可能になるスマートロックは、現在個人向けにいくつかの製品が販売されています。その中でも先駆者とも言える存在がQrio(キュリオ)ですね。Qrioはソニーの完全子会社であるベンチャー企業で、2015年よりQrio Smart Lockというスマートロック製品を販売していました。
しかしこのQrio Smart Lock、まだ新しいジャンルの製品ということで、いくつかの面で不満点も。スマホの操作から実際の鍵の動作までのタイムラグが長かったり、取り付けた製品がいつの間にか外れて落ちていたりというものですね。
そんな中で2018年7月、ついにそのあたりの不満点を改良し、機能面も大幅に強化した新型の「Qrio Lock(キュリオロック)」が発表になりました。内容としては、反応をより早くしオートロック機能も搭載、本体は軽量化とかなりの進化ぶり。スマートロックに求められる機能をほぼ実現した製品となっています。
スマートロックについてのより詳しい解説や、他のスマートロック製品についてはこちらにもまとめています。

外観
パッケージ内容
パッケージは最近のガジェットらしく非常にシンプルですね。中を開けると真ん中にQrio Lock本体とサイドに付属品が詰まっています。
付属品の数はかなり多く、電池に貼り付け用の両面テープ、オートロックに使う開閉センサー、高さ調整プレート、プレート固定用のねじ、サイズ違いのサムターンホルダーとなっています。
一方のQrio Hubはシンプルなパッケージ内容。Hub本体とマニュアルのみになっています。
デザインとサイズ感
Qrio Lockはマット系の黒で質感はまずまずといったところ。細めのつまみ部分がシルバーで良いアクセントになっていますね。
想像していたよりもかなり軽いですが、その軽さの割には安っぽさを感じないデザインになっています。自宅の玄関という目立つ場所につける機器なので、この辺りは嬉しいポイントですね。
Qrio Hubは反対にマットな白一色。こちらもシンプルで好感が持てるデザインです。並べてみるとこんな感じです。どちらもデザインの完成度が高く、非常にシンプルで洗練されていますね。
サイズはQrio LockがちょうどAppleのMagic Mouseと同じくらいです。
設置と設定
玄関への取り付け
早速玄関に取り付けていきますが、まずはサイズの確認。付属のサムターンホルダーをドアのアムターンに仮あてして、最も隙間がないサイズを選びます。我が家の場合はSもMも入らなかったため、Lサイズを選択。ホルダーの取り付けには特に工具などは不要で、Qrio Lock本体にそのまま差し込むだけで装着できました。
続いて取り付け位置の確認。サムターン近くにはドアノブやU字ロック、チェーンロックがあることも多いため、取り付ける向きや場所をしっかり仮決めします。手で持った状態で仮あてをして、うまくサムターンが回ればOKですね。
そのまま高さ調整もおこないます。ドアにしっかりQrio Lockが密着するように、付属の高さ調整プレートを使用。プレートには大と小が用意されており、組み合わせることで3段階の高さ調整が可能です。我が家ではプレート大を使うことで、取り付け高さが確保できました。
ホルダー取り付け/高さ調整前の状態がこちら。
各種調整を終えた状態がこちらです。
ただしこの状態だとサムターンとホルダーの間に少し空間ができてしまいました。そこでホルダー横にある調整ねじを緩めてホルダーを動かすことで、ぴったりとフィットするように調整ができました。
いよいよ設置ですが、その前に玄関の貼り付け部分をしっかり清掃。ドアに汚れが残っていると粘着力が落ちて落下の原因になるようですので、注意が必要ですね。また取り付け後でも問題ありませんが、電池もこのタイミングで入れておきました。ちなみに電池はメインと予備の2つの場所が用意されており、合計で4つ入れることができます。万が一外出中にメイン電池が切れても、予備側で動作するため安心ですね。
ここまでくればQrio Lockに両面テープを貼り、サムターンとサムターンホルダーの回転の中心が一致するようにしっかりと位置を合わせて、いざ取り付け。取り付け後はしばらく強めに押さえ付けておくと、より粘着力が増すようです。
特に難しい作業もなく、すんなりと取り付けが完了しました。
そしてもうひとつ、開閉センサーも取り付けます。こちらはドアではなくドア枠側に取り付けるものですね。位置はQrio Lockのつまみの中央付近。付属の両面テープで貼るだけなので非常に簡単に取り付けることができます。
両方取り付けた状態がこちら。左にある小さいのが開閉センサーです。
横から見てもしっかりサムターンにフィットしています。
ちなみに我が家はドアに2つ鍵がついている2ロック仕様の玄関。そのためもちろんQrio Lockも2台同じものを購入しています。同じ要領でもうひとつも取り付けて完成ですね。2つ取り付けた全体像がこちら。
デザイン的にも違和感なく馴染んで良い感じだと思います。
アプリからの基本設定
本体の取り付けが終われば次はアプリとの連携ですね。アプリは旧型のQrio SmatrLock用のものとは別に、この新型Qrio Lock用のものがリリースされています。
アプリを起動すればまずはアカウント作成。メールアドレスとパスワードを入力し、届いたメールの認証ボタンを押せば作成完了です。
次にロックの設定。「ロックを見つける」をタップし、ロックと接続ができれば名前を入力し機器の登録が完了します。あとはアプリの指示に従い解錠状態と施錠状態の位置を記録すれば、設定が完了ですね。
この時点でもうスマホアプリからロックを操作できるようになっており、かなり楽ですね。あとはハンズフリーやオートロックなどの便利機能の設定を、通常は進めていくことになるのですが、前述の通り私の自宅の玄関は2ロックタイプ。アプリ側でこの2台を同期させる1ドア2ロック設定ができるようになっていますので先にそちらを設定していきます。
アプリのロック設定から「1ドア2ロックを設定する」を選択すると、先ほど登録したロックが上か下かを選ぶことになります。そのあとはもう1台のロックの登録。1台目と同様の操作で登録を完了させれば、1ドア2ロック設定の完了です。
この状態になれば2つのロックが同期して1つのロックのように同時に動きます。これで2ロックタイプの面倒な2回施錠/解錠する作業から解放されてかなり便利になりますね。個人的にはこれだけでもQrio Lockを導入するメリットだと感じています。
使用レビュー
アプリからの操作
アプリのメイン画面はかなりシンプルです。現在の鍵のステータスと共に操作用のボタンが大きく真ん中に配置され、非常にわかりやすい&使いやすいですね。
そして驚いたのはその反応スピード。旧型はかなり遅いと聞いていたのですが、改良された新型は驚くほど早いですね。アプリからボタンをタップして0.3秒程度で解錠/施錠ができてしまいます。
動画を撮影してみましたが2台同時にかなり早く動作しているのがわかると思います。
スマートロック導入の懸念として、いちいちスマホを取り出してアプリを開いてボタンを押して、という動作が面倒というものがありますが、これならじゅうぶん実用的ですね。特に私のような2ロック対応の玄関ドアになっている人間には、普通に鍵を使うよりもかなり早い動作になるので、非常に嬉しいポイントです。
アプリからは他に履歴の確認や合カギの作成、設定の変更などができます。履歴はHubがない場合はアプリからの操作履歴、Hubがある場合はロックに対しての全ての操作履歴が確認できるようですね。Hubとセットであれば家族や子供の帰宅の確認などもできて便利そうです。
合カギでは常に使える家族用と、一時的に使えるゲスト用の2つの鍵の発行が可能です。合カギはURLで発行され、使わせたい人にLINEやメッセージなどで送れるというのが面白いですね。ゲストキーでは利用時間や使える機能を限定することができます。この辺りの柔軟性もデジタルな鍵ならではの利便性だと思います。
ちなみにアプリを使わずに鍵の操作ができるQrio Keyという専用リモコンキーも今回から用意されています。スマホを持たないちょっとした外出の時や、スマホを持っていない子供用にも便利なアイテムですね。これがあればアプリを起動する手間もなくなり、シチュエーションに応じてさらに便利にQrio Lockを使うことができるようになります。
ハンズフリー解錠
ハンズフリー解錠はGPSとビーコンを使って外出先などから戻ってきた時に自動で鍵を開けてくれる機能。誤動作を防ぐためゴミ捨てや近い場所への外出では動作しませんが、これもかなり便利な機能です。
設定はアプリのロック設定からハンズフリー解錠をオン、位置情報を取得という、非常に簡単な流れで完了します。
実際に使ってみましたが、これはかなり便利ですね。うちはマンションなのですが、エレベーターを降りてからドアの前まで歩いている間にちょうど鍵が開くという、素晴らしい反応を見せてくれました。GPSだけでなくビーコンも併用して位置を検知しているため、誤動作もなさそうですし、これはぜひ使うべき機能ですね。買い物帰りで両手に荷物を持っている時や、私のように犬の散歩帰りで犬を抱えている時など、手ぶらで解錠できるのは本当に便利です。
ちなみにHubを使っている場合はハンズフリーに関する通知も届きます。一定の距離を離れたタイミングでハンズフリー解錠が有効になったことと、戻ってきた時に解錠の動作を知らせる通知ですね。これも状況がわかりやすくセキュリティ的にも安心できて良い機能だと思います。
オートロック機能
オートロック機能はその名前の通り、ホテルのようなオートロックドアを実現してくれる機能。Qrio Lock本体を取り付ける時に一緒にドア枠に取り付けた開閉センサーを利用し、ドアが閉じたらすぐに自動で施錠してくれます。
こちらも設定はアプリから。ドアの半開き状態と閉じた状態を記録することで、ドアの開閉を検知してオートロックを動作させているようです。
これも実際に試してみて少し感動しました。ドアが閉まるとほぼ同時に、ホテルのように自動で鍵が動作して施錠してくれます。わかりやすく動画も撮影してみましたのでご覧ください。
これで外出時に鍵の閉め忘れを気にする必要も無くなりますし、帰宅時によく鍵をかけ忘れるという人にも嬉しい機能ではないでしょうか。ただし鍵もスマホも忘れて家を出てしまうと締め出されてしまいますので、その点だけは注意が必要ですね。
Qrio Hubを使った外出先からの操作
Qrio Lockは単体でも完成度が高くじゅうぶん便利ですが、Qrio Hubがあればさらに便利になります。Qrio Lockはスマホとの接続にBluetoothを使いますが、Qrio HubはこれにWiFi機能をプラスしてくれます。つまり外出先からでも鍵の操作や確認が可能になるというわけですね。
設定はHubをコンセントに挿してアプリのリモート操作からおこないます。上部のボタンを長押ししてハブと接続し、そのあとは接続するWiFiを選べば設定完了です。
これで鍵に関する全ての履歴を確認でき、外からでも鍵の状態を確認したり操作ができるようになりました。オートロック機能があれば正直Hubはいらないかなとも思ったのですが、やはり外からでも鍵の状態が確認できるというのは安心感が違いますね。各種通知も状況が確認しやすくて非常に便利です。
気になったポイント
主にQrio Hubについてですが、Bluetoothの感度が弱いのか外出先からの状況取得ができないことがあります。できないというよりも正しくないという状態ですね。
オートロックがかかったことを確認して外出したにも関わらず、外から確認すると「あいています」というステータスになることがあります。外に出てしばらく時間が経過してからは大丈夫なのですが、ちょっとした外出の時は2回解錠操作をしないといけない(ドアの近くでボタンを1回タップすると「しまっています」ステータスに変わる)のがやや不便ですね。
またQrio Hubの設置場所にも注意が必要。最初は玄関近くの部屋の中に設置したのですが、ドアなどの障害物のせいかうまく連携ができませんでした。今は玄関から繋がっている廊下のコンセントに挿しています。玄関近くにコンセントがない人はHubの導入を気をつけてください。
またこれはHubのせいかどうかはわからないのですが、外出先では通知がかなり遅れて届きます。特にオートロックされたことの通知は30分程度経過してから届くこともあるので、あまりリアルタイム性があるとは言えませんね。この辺りは改善を期待したいポイントです。
また旧型のQrio SmartLockの時には可能だったAmazon AlexaやApple Watchへの対応は、現時点ではできていません。特に腕につけるApple Watchとスマートロックの相性は抜群ですので、早めの対応を期待したいところ。メーカー発表によると2018年秋頃にApple Watch対応アプリを提供予定のようです。操作時にiPhoneを必要としないApple Watch単体での操作についても、実現性の確認を含めて検討中ということで、楽しみに待ちたいと思います。
2018/7/29追記:Qrio Hubの本体ソフトウェアが更新されました(バージョン1.0.01)。内容はプッシュ通知の安定性向上ということで、早速アップデートしてみましたが、通知の遅延や不安定さがやや改善されたような気がします。今後さらに抜本的な改善に取り組んでいく予定もあるということで、より便利で安定して使えるような改善にも期待したいと思います。
公式サイトでは今後の改善内容のロードマップが公開されています。
2018/10/11追記:アプリのアップデートにより、ついにApple Watchに対応しました。iPhoneよりQrio LockのアプリをバージョンアップしApple Watchにインストールすることで、Apple Watch単体で鍵の解施錠ができるようになっています。
早速私も所有しているApple Watch Series 4にインストールして使ってみましたが、非常に快適に使えています。これでちょっとした外出の時などに、Apple Watchを身につけていればわざわざiPhoneを持って行く必要もなくなりますね。
※Apple Watch Series 4のレビューは下記をどうぞ。

合わせてハンズフリー解錠の精度改善や誤動作の防止、起動速度や状態表示の正確性も向上しているようです。まだ数回しか試せていませんが、実際にハンズフリー解錠の精度は上がっている気がしますね。ますますQrio Lockの使い勝手が良くなるアップデートで、より完成度の高いスマートキーへとどんどん進化しています。
まとめ
Qrio Lockはハンズフリーにオートロック、そして施錠/解錠スピードの早さで、かなり完成度の高いスマートロックだと思います。私の自宅はオートロック付きのマンションのため、スマートロックが物理的な鍵の完全な代わりにはならないのですが、それでもかなりの利便性の高さを感じていますね。
特に2つの鍵を1つとして扱える1ドア2ロック設定はかなり便利で、これだけでQrio Lockを導入してよかったと思えるほど。Qrio Lockは難しい設定も必要なくかなり簡単に導入できて、日々の生活をとても便利にしてくれるスマートデバイスですので、自宅のスマートホーム化を検討している人はぜひ導入してみてください。
2大スマートロック製品のひとつとも言えるSesami(セサミ)のスマートロックとの比較もまとめていますので、よければこちらもご覧ください。

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