スマートフォンやスマートスピーカーの普及に伴い、自宅をそれらの機器と連動するような仕組み、いわゆる「スマートホーム化」を考える人も増えてきていますね。「IoT=モノのインターネット」という言葉も生まれ、様々な機器がネットワークに繋がる時代になっています。
そんなスマートホームを実現するにあたって、導入しやすくかつ、非常に生活が便利になるもののひとつが「玄関の鍵」ではないでしょうか。既存の鍵を交換する必要もなく、上から簡単に取り付けが可能なネットワーク対応の鍵はスマートロックと呼ばれ、物理的な鍵がなくても玄関の開閉を可能にしてくれる、画期的な製品です。
そこで今回は、Qrio(キュリオ)とSesame(セサミ)というスマートロックの2大人気製品を紹介。スマートロックの解説も含めて、それぞれの製品の特徴などを比較・まとめていきたいと思います。
※ここで紹介しているのは旧型のQrio Smart Lockですが、新型のQrio Lockが発売されています。新型は旧型に対して様々な点が改良された、かなり完成度の高い製品。新型Qrio Lockについては購入してレビューしていますのでこちらをどうぞ。
スマートロックとは
スマートロックとは、自宅にある鍵をネットワークに対応させて、スマホやスマートスピーカーから操作できるようにするガジェットのこと。既存の鍵の上からパーツを取り付けるだけのシンプルなものなため、難しい設定や大掛かりの工事などは不要で、気軽に導入することが可能です。ネットワーク経由で家電の操作を可能にするスマートリモコンと同じくらい、便利な上に導入のハードルが低く、スマートホーム化を進めるにあたってまずはこれと言えるくらい、メージャーなスマートデバイスですね。
使い方も基本的には設定したスマホ内のアプリから鍵を開けるだけというシンプルなもの。もちろんシンプルさだけでなく、設定次第では位置情報を使ったり他の機器と連携させたりと、様々な使い方も可能です。GPS(位置情報)やBluetooth接続により、設定したスマホが近づくだけで鍵を開けてくれる機能などもあり、重たい買い物袋を持ったまま鍵を探すという手間も無くなり便利ですね。
部屋に入るための鍵はアプリなどで共有化が可能。共有化した鍵は時間指定や条件、あるいは持ち主が任意で消去できるため悪用されるリスクも少ないです。例えば、今流行りの民泊のように、自分の所有する物件を一時的に貸したりする場合、鍵を渡しても複製される心配はありません。完全に物理的な鍵が不要になるわけではありませんが、スマホさえあれば鍵の操作ができるため、鍵を盗まれたり、落としてしまう危険性もなくなりますね。
スマートロックの中には、オートロック機能を装備している機種もあります。マンションなどでは普及されていますが、一般家庭でオートロックというのは非常に珍しいですよね。一定時間経過で自動で鍵を施錠してくれるため、慌ただしい朝に飛び出すように家を出て、鍵を閉めたかどうか不安に思うことはなくなります。外出先で自宅の鍵がちゃんと閉まっているかどうか確認する事ができるのも、魅力ではないでしょうか。
このようにスマートロックは、日常生活をより便利にし、新しいライフスタイルを提供してくれるガジェットといえます。
Qrio(キュリオ) Smart Lock
Qrio Smart Lockの基本仕様
Qrio(キュリオ) Smart Lockはシンプルなデザインと簡単な操作性を追求したスマートロック。日本の多彩なサムターン(室内側の鍵・つまみ)に対応しており、小型でシンプルなデザインはどんな住環境にも溶け込ます。
本体のバッテリーは電池式を採用。リチウム電池2本で約300日、4本を使用した場合は約600日と長い時間稼働します。電池の残量はアプリからいつでも確認ができ、残りが少ない時は通知してくれるため、電池切れの心配もありませんね。
Qrio Smart Lockの設置方法
設置方法も非常にシンプル。従来の鍵にかぶせる形で設置するため、鍵の交換なども必要ありません。購入すれば、設置から使用まで即日で完了するほど手軽に導入できますね。ドアへの貼り付け部分には粘着シートを採用。程よい粘着力で跡が残りにくくなっています。粘着力の強さでは後述のセサミ製品に劣る部分もありますが、外すときに跡が残りにくいのは、失敗した時のことを考えたり、賃貸住宅に住んでいる場合は嬉しいポイントではないでしょうか。
取り付ける際に工具を必要とせず、壁に穴や傷をつける心配もありません。付属品も豊富で、対応ドアを増やすためにオプションパーツの数も、追加されていっていますね。ただし、現在の仕様では特殊な形状をしたサムターンや、サムターンの周りに隙間がないタイプや、鍵の開閉に90度以上回す必要があるタイプにはご利用できないため、購入する際には確認が必要です。
Qrio Smart Lockの使い方と機能
実際の使い方も短い登録で完了します。専用のアプリをスマホにインストールし、オーナー設定をするだけ。あとは、スマホを持った状態で近づけば機器が認証してくれ、スライド操作で鍵が開きます。
もちろん家族のように複数人で利用することも可能で、その場合は同じアプリをインストールした相手に承認制で配布ができます。承認は時間式で失効させることも可能なため、一時的な訪問客へも鍵を配布できて便利ですね。他にも、開錠してから一定時間が経過すると自動で施錠するオートロック機能も搭載。うっかり閉め忘れての外出や、自宅にいるときの防犯にも役立ちます。
スマホ以外との連携ではAmazon Alexaに対応。Amazon Echoやその他Alexa搭載スマートスピーカーから、音声操作で鍵の施錠が可能です。ただし当然のことですがセキュリティ上、開錠については対応しません。外からの音声操作で鍵が開錠できてしまうと、誰でも鍵を開けれてしまいますからね。高度な音声識別などが搭載されれば、将来的には開錠も可能になるかもしれません。
スマートウォッチに対応しているのも大きなポイントですね。常に腕に装着しているスマートウォッチであれば、スマホ以上に便利に使うことができます。
アプリやインターネットを介すると聞くと、セキュリティが心配ですが、Qrio Smart Lockは最新のセキュリティ技術を採用。機器の登録から施錠・開錠にサーバーを介さないため、キーの情報を盗み見られる心配はありません。
Qrio Smart Lockの外出先からのアクセス
外出先からも鍵の状態の確認や操作をしたいという場合は、別売りのコンセントに差しこむハブを購入することで対応できます。家を出た後に鍵を閉めたかどうか忘れて不安になる、一度帰って確かめる、という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。この製品があれば、外出先からでも施錠状態が確認できるため、もう二度とそんな経験をすることもありません。非常に便利で安心な機能なため、スマートロックを導入する場合は、合わせてハブも購入しておく方が良いと思います。
2018/7/5追記:改良されたQrio Lockの発売が決定
2018年7月19日に新「Qrio Lock」が発売になることが発表されました。上で紹介している前モデルにあたる「Qrio Smart Lock」から様々な点で改良・進化された製品になっていますね。
※購入したためレビューしました。
改良点としてはまず対応する鍵の増加と、本体の小型化。ドアとの干渉が減ったことにより、より幅広いサムターンに対応できるようになっています。また、スマホ操作による鍵の開閉動作が従来機種に比べて8分の1の速度と、かなり反応が速くなっているのも大きなポイントですね。電波強度も高まっているため、より安定して通信できるようにみなっています。
ほかにもオートロック機能を新たに搭載。これはスマホのGPSと連動して、外出すると自動で施錠・帰宅すると自動で解錠する機能ですね。GPSにより帰宅を検知し、ポケットにスマホが入っていれば、ドアに近づいた段階で自動的にカギを解錠してくれます。ドアが締まればその後の施錠も自動でおこなわれるため、まさにオートロックです。ハンズフリー/オートロックこそスマートロックに求められているものだと思いますので、これは待望の機能になります。
スマホから1度に2つのQrio Lockを操作できる点は全モデル同様。ただ反応が速くなったことで、全モデルよりも快適に使えそうです。我が家もそうですが、最近は上下に2つの鍵がついた玄関が多いと思いますので、素早く2つの鍵が操作できればかなり嬉しいポイントとなりますね。
本体を40%軽量化することにより、前モデルで問題になることが多かった両面テープが本体の自重に耐えきれず落下してしまう問題にも、対策が施されているようです。また両面テープを4分割し気泡を入りづらくしたことで、より落下の可能性が低減されていますね。
Qrio Keyという専用リモコンキーも今回から用意されるようになりました(発売は8月予定)。これはスマホ代わりにボタン操作でQrio Lockを操作できるようになる別売りのオプションとなっています。キーケースなどにつけていればスマホを取り出すことなく鍵の開閉ができて、こちらも非常に便利ですね。
外出先からの操作を可能にするHubは従来機種と共通のため、全モデルのユーザーはQrio Lockだけを買い換えることも可能になっています。現在Amazonなどで予約受付中。大幅進化でスマートロックとしての完成度が非常に高くなっており、かなり期待のできるスマートデバイスと言えそうです。
Sesame(セサミ) スマートロック
セサミ スマートロックの基本仕様
Sesame(セサミ)のスマートロックも、Qrioの製品と並んで人気が高い製品。セサミの由来は有名な呪文「開けゴマ」(英語でOpen Sesame)からきているようですね。
クラウドファンディングで目標価格の15倍近い資金を調達したことから、非常に注目されたガジェットで、大きな特長はそのコストパフォーマンスの高さ。前述のQrio Smart Lockとほぼ同じ機能でありながら、より安い価格で販売されています。カラー展開が4色で、玄関の雰囲気などに合わせて選べるのも特徴のひとつでしょうか。
デザインは平べったく、実際よりも大きな印象を与えます。横幅も広く外観のスマートさで言えばQrio Smart Lockの方が上でしょうか。これはQrio製品が主に日本国内向けの住居を対象にしているに比べ、セサミ製品が世界各国の住居も対象にしていることが理由のようですね。逆に言えば海外製のような少し特殊な玄関鍵でも、セサミ製品であれば対応できる可能性があるということです。
セサミ スマートロックの設置方法
設置面には両面テープを採用。Qrio製品は本体の重さに耐えきれず落ちることがあるというレビューが比較的多い印象でしたが、セサミ製品ではあまり見かけませんね。同じ3M製の粘着テープを使っているようですが、もしかするとセサミの方がより強力なグレードのテープになっているかもしれません。
取り付け方はQrio製品と同じく、サムターンに被せるだけで、道具も手間もいらない簡単さ。よりしっかりとサムターンを挟めるように、内部のサムターンホルダーはつまんで高さが調節できるようになっています。ただしつまみの幅を調節する機能や、Qrio製品のようなアタッチメントはないため、自宅のサムターンに合うかどうかは購入時に確認が必要ですね。
セサミ スマートロックの使い方と機能
登録・操作は専用のアプリから行います。会員登録を行い、Bluetoothペアリングを設定す流だけの簡単登録ですね。こちらのアプリにもQrio製品同様、扉の開錠・施錠以外にもいろいろな機能があります。鍵のシェアや一定時間が経過したのちに扉を施錠するオートロック機能、自宅から〇m以内に入ったら開錠するオートアンロック機能などですね。できることはほぼQrio製品と同じですが、アプリそのものはQrioよりも洗練されているように感じます。
セサミ製品の特長のひとつでもあるのが、開錠・施錠の速さ。Qrio製品はBluetoothによる近距離での開錠に約5秒、Wi-Fi接続だと約15秒ほどかかります。しかし、セサミのスマートロックはボタンをタップした瞬間から開錠が開始するため、Qrio Smart Lockに比べればかなり速いですね。また、開錠・施錠されたことがオーナーに対して通知されるため、防犯性も高いと言えます。子供や同居人がいつ頃帰宅したのかという確認に使えたり、レンタルスペースや倉庫などの商業施設の防犯にも使えますね。
もうひとつセサミ製品の大きな特長は 他のスマート機器との連携機能の豊富さ。Qrioは現状Alexaのみですが、セサミはGoogle Home(Googleアシスタント搭載スマートスピーカー)に対応しています。Alexa(Amazon Echo)にも英語版では対応済み、日本語版は申請中で近日中にはリリースされそうですので、そうなると2大スマートスピーカーに対応することになりますね。他にIFTTTにも対応しているため、アプリやスマート機器同士を連携させて、活用の幅を広げることができます。
iOS版アプリでは端末ノックやドアノックで開錠できるというのも大きなポイントです。ポケットから鍵やスマホを取り出すことなく、コンコンとノックするだけで開錠できるのはなかなか良いアイデア機能ですね。セキュリティも軍事レベルの高い暗号化通信が施されており、安心して使うことができます。
残念なのはQrioと違いスマートウォッチに現状では対応していない点。スマートウォッチ対応はスマホ以上に便利にスマートロックを使える重要な機能ですので、これはぜひ対応してもらいたい部分だと思います。
外出先からのアクセス
こちらもQrio同様、外出先からのアクセスには別売りのWi-Fiアクセスポイントを購入する必要があります。USB接続のため直接コンセントにはさすことはできず、別途USB電源アダプタを用意する必要がありますが、代わりに設置自由度は高くなりますね。こちらもやはり個人的にはスマートロックを使う上では必要不可欠なアイテムだと思います。
2018/8/28追記:日本向けに改良/小型化されたSESAMI miniの発売が決定
日本の住宅に合わせて小型化された、SESAMI mini(セサミ ミニ)が新たに発表されました。スマートロックとしての機能は従来機種そのままで、サイズを約半分に、重さも20%の軽量化を実現。同様のスマートロックデバイスとしては世界最小級、最軽量級を誇っています。
さらにギアの耐久性が3倍、Bluetooth通信距離が110%延長、電池の持ちも110%増加と、基本性能面が大きく向上していますね。対応できる鍵の形状もかなり増えており、Qrioでは対応していない涙型や四角形のサムターンといったほとんどの鍵に対応できるようになっています。
Apple WatchやAmazon Alexa/Google Homeといったスマートスピーカー(音声アシスタント)、Webサービスなどを連携するIFTTTにも対応済みなことに加え、APIも公開されているため、利用シーンに合わせた幅広い使い方が可能です。もちろん「オートロック」や「手ぶら解錠」などの機能も従来機種同様搭載されており、かなり完璧に近いスマートロック製品へと進化していますね。
カラーもホワイト・ブラック・シルバー・ゴールドの4色が用意され、玄関の雰囲気や扉の色、ノブの色に合わせて選べるのも嬉しいポイントです。何よりも魅力なのは価格で、本体の予定価格は14,800円。Qrioよりも大幅に安い値段となっており、スマートロック導入のハードルがグッと下がりそうですね。
そんなSESAMI miniですが、現在はクラウドファウンディングサイトである「Makuake」にて早期割引価格で先行販売を実施中。なんと価格がさらに安くなる33%オフ/5,000円引きの9800円で販売されています。(先着50名の40%オフのコースは既に完売)
税込価格6,000円のWiFiアクセスポイントを同時に購入すると、さらに1000円割引になる1万4800円のコースも用意されていますので、スマートロックを導入してみたかったという人は、この機会に申し込んでみてはいかがでしょうか。実施期間は11月1日までとなっています。
まとめ
両機器を比べた場合、設置方法や性能、機能にそこまでの違いはありません。ただセサミの方が様々な面でスマートロックとして必要な機能が洗練されているように感じますね。スマートスピーカーとの連携方法も豊富で、さらに値段も安く、コストパフォーマンスも高いです。
一方Qrioは日本住宅で使われることを前提とした国産品という点が評価できます。日本の住宅事情もわかっていると思いますので、様々な鍵に対応できるようオプションパーツなども用意されていますしね。
あとは部分的にQrioにできてセサミにできないこと(スマートウォッチ対応など)や、その逆も存在しますので、自分が一番使いたい機能で選ぶというのもアリだと思います。
2018/7/5追記:Qrioの新製品「Qrio Lock」の発表により、スマートロックとしての機能や完成度は、Qrioの方が大幅に高くなったように感じます。ただ唯一のネックはやはり価格ですね。価格はやや高価ながら高機能で完成度も高いQrioにするか、低価格ながらスマートロックとして基本機能は使えるセサミか、という選択になりそうです。ちなみに私は新型「Qrio Lock」を予約しました!購入後のレビューはこちらをどうぞ。
2018/8/28さらに追記:Qrioに負けじとSESAMIも日本向けに小型化した新モデルを投入してきましたね。Qrio以上に機能面でできることが多く、さらに価格も安く設定されているため、これはかなり人気が出そうです。ただQrioも新型では解錠スピードが早く、手ぶら解錠動作時の精度向上やアクセサリとして物理キーなどが用意されるなど、魅力的なポイントもあります。今後アップデートなどでお互いが切磋琢磨して、より良い製品になっていくとユーザーとしてはありがたいですね。
そしてこれはどちらの製品にも言えることですが、マンションでの利用の場合は、戸建での利用よりもやや利便性が下がりますね。マンションの場合エントランスにオートロックがあることが多く、その場合はどちらにしても物理キー(もしくはオートロック専用キー)が必要になってきます。流石に難しいとは思いますが、この辺りとの連携も今後進んで行けば良いなと感じますね。
ただどちらにしてもスマートロックは非常に便利なデバイスであることは変わりありません。何より手ぶらでの開錠や、外出先からの鍵の確認・操作は、誰もが便利だと感じる機能だと思いますので、スマートロックを導入してスマートホーム化の便利さを味わってみてはいかがでしょうか。
コメント
ブログで弊社のセサミを紹介して頂きありがとうございます。
2点アップデートがありますのでこちらのコメント欄で連絡させて頂きます。
まずAppleWatchに対応致しました。設定方法や上手く繋がらない時の対処法などこちらに載せてますので参考にしてみてください!(https://twitter.com/candy_house_jp/status/1017667090562478080)
そしてAmazon Alexaの日本語にも対応しましたので、英語・日本語ともどちらも使用できるようになりました。
セサミが皆さまの暮らしの中で、より便利に使いやすいものになるように日々改良・開発に励んでおります。大きさも小型化への改良を進めております。年内中に発表できればと思っております。乞うご期待くださいませ。